カネミ油症次世代座談会<2>結婚や子ども 名乗り出られない人もたくさん

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左からAさん、三苫壮さん、中内孝一さん、下田恵さん

 1968年に発覚したカネミ油症事件で、次世代被害者は認定、未認定にかかわらず心身の不調や周囲からの偏見に苦しんでいるが、救済は進んでいない。長崎県などに暮らす2世の男女4人による座談会を福岡市内で開き、体験や思いを語ってもらった。

カネミ油症次世代座談会<2>

 -カネミ油症被害者であることで、偏見や社会的な不利益を受けたことは。
 三苫 カネミ油症の大きな問題の一つは、2世、3世への影響。僕なども母のおなかにいて毒を引き継いだわけで、そういうことが起こり得るという決定的な恐ろしさがある。いつも厚生労働省の人たちは、その辺は置いておけというような感じで、疎外感を強く感じる。男性でも(ダイオキシン類などによって)遺伝子の情報に傷を負うことが起こり得るわけで、自分が結婚したり子どもができたりする時に、相手に打ち明けなければならない話が一つ出てくる。次世代につながっていく恐ろしさというのは、常につきまとう問題だと強く思う。

 -結婚や子どもができる段階になったら、いろいろ考えるということか。
 三苫 パートナーに対して、僕はそう(カネミ油症被害者)なんだよという話をしなくてはならないだろうし、(相手が)それは困るという話になるかもしれない。
 -なかなか伝えきれないケースもあるのでは。
 三苫 いろんな家庭の人に話をうかがう機会があるが、名乗り出られない人もたくさんいる。そもそも(直接油を食べた親世代で)ものすごい症状が現れてるのに認定されてない人が山のようにいる。同時に(子や孫などに)言えずにいる人もたくさんいる。(次世代被害者の中には)どうしてこんなにつらいんだろう、なぜこんな病気をしたのだろうと、人知れず苦しい思いをされている人も、たくさんいると思う。
 A 自分は4人きょうだいの一番下。上のきょうだいの子ども(おいやめい)は特に症状がなかったので、(自分の子が生まれる時には)特に心配などはなかった。ただ、(妻に自分が患者だと)告知したのは結婚してから。迷うというか、心苦しいというか、本当は結婚前に言わなければいけなかったのかなと思うが、葛藤があった。

 -Aさんは奥さんに、伝えているということか。
 A 伝えてはいるが一応さわりだけにとどめている。(油症事件は)妻が生まれる前のことであって、どのようなものか深く理解はしていないと思う。(妻に詳しく伝えると)なぜ、どうして、となるかもしれない。

 -Aさんは2人の子に、自らが油症被害者であることを伝えているのか。
 A 教えてはいる。上の子はインターネットで調べたりしてある程度は知っているようだ。 <3>に続く

 【略歴】しもだ・めぐみさん 1989年生まれ。未認定。長崎本土地区油症被害者の会。認定患者の母、順子さん(58)は五島市で汚染油を摂取した。
 【略歴】なかうち・こういちさん 1971年生まれ。未認定。カネミ油症被害者高知連絡会。母親は認定されている。
 【略歴】みとま・そうさん 1976年生まれ。カネミ油症被害者福岡地区の会。兄の哲也さん(50)と共に2世の認定患者。
 Aさん 長崎県内在住の40代男性。0歳で認定されている。

●座談会内容

・カネミ油症次世代座談会<1>常に恐怖感ある 悔しいが諦めも

・カネミ油症次世代座談会<3>誤解から偏見に くぎ打ち続ける

【キーワード】●カネミ油症 ●次世代被害 ●油症検診と認定 ●YSCによる次世代被害者の健康実態調査