一般会計7260億円 第2期創生戦略に295億円 長崎県新年度予算案 

2020年度長崎県当初予算案

 長崎県は17日、2020年度当初予算案を発表した。一般会計総額は19年度当初比4.1%増の7260億円。人口減少に歯止めがかからない中、20年度から6カ年の「第2期県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の関連事業に計295億6900万円を計上、地方創生対策の充実・強化を図る。一般会計当初予算額としては3年ぶりの7千億円台。25日に開会する定例県議会に提出する。
 大型事業関係では、東彼川棚町に計画する石木ダムの本体工事費として約8億円を組み込んだ。九州新幹線長崎ルートの22年度暫定開業に向け対策事業費3900万円を計上、県民の機運醸成を図る。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の区域整備計画の作成などに1億6600万円を組み込んだほか、ギャンブルなどの依存症対策費2600万円も計上した。
 中村法道知事は会見で「環境変化や仕組みの変更など変化をチャンスに変えていこうと工夫を重ねた予算」と説明。石木ダムについては「安心安全を確保することは極めて重要な課題。継続して(反対住民らの)理解を得て着手できるように全力を注いでいきたい」とした。
 第2期となる総合戦略では、「新規学卒者と県内企業のマッチング促進」や「U・Iターン対策」「子どもを産み育てやすい環境整備」など六つの施策体系で人口減少対策など地方創生への事業を進める。
 総合戦略の一環として、産業構造の転換も促す。航空機関連産業のサプライチェーン(部品の調達・供給網)の充実・強化と関連企業の支援に1億1300万円、ロボット・IoT(モノのインターネット)関連企業の育成や支援に1億800万円をそれぞれ充てた。また、県立大に情報セキュリティ産学共同研究センター(仮称)を整備するため、事業費7千万円を盛り込んだ。
 自然災害被害を最小限に抑える国の「国土強靱(きょうじん)化」対策などを受け、防災・減災対策の公共事業費は19年度当初比73億円増の1055億円となった。
 歳入(基金を除く)は19年度当初比4.4%増の7117億9200万円。県税収入は消費税増税に伴う地方消費税の伸びなどから、同比3.5%増の1227億100万円と過去最高。実質的な地方交付税(臨時財政対策債含む)は同0.1%増の2410億6200万円。
 県の貯金に当たる財政調整3基金の最終取り崩しは2億円を見込む。20年度末残高は201億円まで減少する見通しで、厳しい財政状況が続く。
 県債の20年度末残高は1兆2604億円。19年度と比べ79億円膨らむ。県民1人当たりに換算すると、6千円増えて92万3千円となる見込み。

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