在宅介護のポイント、朗読劇に 周知へ漫画化も

朗読劇の内容を漫画にした冊子

 神奈川県厚木市内で在宅介護に携わる医師や看護師らでつくる「市地域包括ケア(研修・啓発・広報)連絡会」が、朗読劇を通じ、在宅介護のポイントや課題を分かりやすく解説する取り組みを続けている。地域包括支援センターに寄せられた相談事例などを基にオリジナルの脚本を執筆。読み手もメンバーが務め、理想の在宅介護を提唱している。9日には4回目の朗読劇が開かれ、お年寄りら約200人が聞き入った。

 朗読劇「やっぱり家がいい!」は、2017年2月にスタート。厚木一郎さん、妻の花子さんの高齢夫婦と2人の娘という架空の家族を軸に、回を追うごとに物語も進行する形式だ。現実感を持たせるため、家族が言い争う姿などを盛り込んでいるのも特徴だ。

 初回は認知症の兆候が出始めた花子さんを在宅介護するために要介護支援認定を申請するまで、2回目は介護サービスを利用して生活が安定するまで、3回目は花子さんの体調が悪化して入院するまで、をそれぞれ描いた。

 市文化会館(同市恩名)で開かれた4回目は、肺炎で入院した花子さんが退院しても在宅介護を続けようと考える一郎さんと、共倒れを心配して施設に預けるべきと提案する長女が対立する。最後は、同じ事業者が通所や訪問、泊まりといった介護サービスを一体的に提供する「小規模多機能型居宅介護」を利用することで在宅介護を続け、花子さんを家族でみとる内容にまとめた。

 参加した70代の女性は「とても分かりやすく、自分に置き換えて考えることができた」との感想を口にした。連絡会は「5回目以降は、妻を亡くし、独り暮らしになった夫をテーマにしたい」と話している。

 連絡会は、朗読劇の内容をより広く周知するため、1回目を漫画にした冊子も発刊した。A5判36ページで3千部を作成。地域包括支援センターで無料配布する。2回目以降の内容も順次、漫画化する予定という。

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