「平戸のジャンガラ」「大村の沖田踊・黒丸踊」 風流踊 ユネスコ申請へ 継承へ決意新た

大花輪を背負った出演者や武士に扮した子どもたちが舞う黒丸踊=大村市、黒丸町公民館

 全国各地に伝わる「風流踊」(ふりゅうおどり)が19日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指す国内候補に選ばれた。県内の「平戸のジャンガラ」と「大村の沖田踊・黒丸踊」が含まれており、保存継承に取り組んでいる関係者からは喜びの声が上がった。
 「平戸のジャンガラ」は国指定重要無形民俗文化財。先祖を供養し五穀豊穣を(ほうじょう)祈願する踊りで、かねと太鼓の音色から「ジャンガラ」と名付けられたとされる。平戸市内9地区で400年以上伝承されていて、毎年お盆の時季に、紙の花飾りを付けたかさをかぶった踊り子らが、寺や神社の境内などを巡り奉納する。
 市自安和楽(ジャンガラ)念仏保存振興会の村瀬和男会長(74)は「地域文化が後継者不足で消滅してしまう時代。古き良き伝統を次世代につなぐきっかけにしたい」と決意を新たにした。黒田成彦市長は「先人から受け継いだ地域の宝として、大切に守り伝えていく責任をあらためて感じる」とコメントした。
 黒丸踊は直径5メートル、重さ60キロの大花輪を背負った出演者が太鼓を打ち鳴らしながら舞い、沖田踊は黒装束の出演者が刀やなぎなたを持って踊る。黒丸踊では武士に扮(ふん)した子どもたちも登場し、唄や三味線の音に合わせて優雅に舞う。
 どちらも戦国時代に大村領主の大村純伊(すみこれ)が領地を回復した際、領民が祝いのため踊ったと伝わる。寿古踊と合わせ「大村の郡三踊」として国重要無形民俗文化財に指定されている。
 黒丸踊保存会の前川與会(あたえ)長(82)は「無形文化遺産になれば、どの地域でも課題になっている後継者不足への対策がしやすくなるのではないか」と期待を口にした。大村市教委の遠藤雅己教育長は「子どもたちの郷土愛を育むため、地元としても登録に期待している」と語った。

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