手取りはいくら?地方議員のリアルなお財布事情とは?! 【選挙ドットコムちゃんねるダイジェスト】

ボーナスで300万円以上支給された国会議員のニュースや、議員の地位を利用して私腹を肥やす悪徳政治家の事件をたびたび目にすると、政治家は一見「儲かる商売」のように見えますが、地方議員のお財布の実情は想像以上にシビア!

働き盛りの議員さんが、実際に家計に使えるお金が月に20万円ほどしかないと聞くと「一生懸命勉強して、将来は立派な政治家に!」なんて、損すぎる人生の選択に思えてきます。一般企業に就職するか、起業独立してドカンと当てた方がずっと豊かな生活を送れるのでは?

取材に応じてくださった現役の地方議員さんのお財布事情を見ながら、選挙ドットコムちゃんねるの3人が、様々に考察を広げていきます。

本記事ではその番組内容をダイジェスでお伝えします。

「議員って高収入」は実はガセネタ?!

乙武 「今回のテーマは『地方議員のリアル お寒いお財布事情』ということですけれども」

松田 「いやーいいテーマですね。皆さんにもぜひ、実情を知っていただきたい」

千葉 「昨年末、国会議員に支給された期末手当(ボーナス)の額が300万円を超えているという報道がありましたね。そんなことからも『議員って高収入なんだな』と感じる人が多いと思うんですけど、じゃあ地方議員はどうなのかなというところで、選挙ドットコムでは実際に地方議員の方にお話を伺いました。

お伺いしたのは足立区議会議員の小椋修平さんです。小椋さんのリアルな報酬と収支がこちらになります」

千葉 「まず月額報酬は61万9000円。でも活動費を除くと実質の手取りは22万3000円ですと。これと別に政務活動費は16万円。秘書がいないのですべて自分で事務や連絡などの仕事も行っており、前回の選挙資金には300万円ほどかかった、ということですが」

乙武 「ん? ええっとまず政務活動費は月額報酬とは別で支払われていると。だけど、2行目には活動費を除くと実質手取り22万円。ということは、もともと支給される16万円では政務活動費が足りない?」

松田 「ちょっとフリップの書き方で混乱を招いているんですけど、報酬の約61万円というのは額面でということで。選挙ドットコムのサイトの記事には細かく書かれているんですが、ここからいわゆる税金とか社会保障費、健康保険、介護保険、所得税、住民税、国民年金、議員連盟会費などが引かれるんですけど、その合計が24万6700円と」

区議会議員でも毎月赤字って本当?!地方議員のリアルなお財布事情(小椋修平・足立区議)

松田「残りは、約38万3000円なんですが、今度はここから活動費というか事務所の家賃の半額負担分、会合の参加費、交通費などの政治活動の費用として16万円ほど出ていくと。

要は、自分と家族の生活に使えるお金としての手取りという意味で、この22万3000円という数字になるということなんです。

このほかに政務活動費として支給される16万円というのがあるんですが、これで事務所の家賃の残り半分を充当したりとか、政治活動に関わる費用として使われているということですね」

乙武 「この金額、人によって『そりゃしんどいな』と取るか『まぁまあじゃん』取るか、いろいろだと思うんですが」

松田 「足立区は23区内でも非常に人口の多い地区ですから、地方議員の中でも月額報酬は多い方だと思います。ただ、額面の61万9000円という数字と、生活で使える22万3000円という数字のギャップがね。ほかの職業と比較した時、印象的にはちょっと意外な感じがするんじゃないかと」

乙武 「そうですね。少なくても『ものすごく儲かる仕事』とは言えないとは思います」

松田 「そのうえ、選挙資金が300万円となってますけど、地方議員には退職金というのがありませんのでね。市長などの首長は4年ごとに1000万とか2000万とか、まとまった額の退職金が出るんですが。議員には4年の任期終了時の退職金は一切ありません。

4年間、実質生活に使えるお金が22万3000円という中から次の4年後の選挙資金を貯めていくというのはかなり大変。もちろん落選すると、なんの保障もありませんし」

千葉 「いやー大変ですね!」

議員を志す理由はさまざま

**

**

乙武 「全然儲からないのに、なんでみんなやるんですか?」

松田 「それはやっぱり、政治家・議員にならないとできない仕事があって、それに魅力を感じているとかやりがいがあるとかね、その地域をよくしたいとかいう強い志とか、公共に奉仕するという思いがあってやられる方というのもいらっしゃいます。

あとはもう家業的に、なんかおじいちゃんや親の代から続いてるから俺も、みたいになんとなくやっている人もまぁ一定数はいます。

あとは名誉職としての議員ですか。地方の名士的なね、意味合いで 50代 60代になってある程度の地位を築いた上にもうひとつ議員で箔付けするという感じで、何期か地元の議員を務めるという方も。

まぁなんで地方議員になるかというところは色々ですけど、基本的には郷土愛というか地元に対しての自分なりの思い入れがあってやられている方が多いという印象です」

乙武 「これまでの話を聞いているとね、たとえばもっと月額報酬を上げて、優秀な人材に議員になってもらえるようにすべきだと考える人もいるだろうし、そうやって純粋にこの地域を何とかしたいという思いでやってくれる人をふるいにかけるためにも、あえて少なめの報酬のほうがいいんじゃないかって考える人も出てくるだろうし、難しいですね」

松田 「そうですね。ただ報酬が減っていくと、そもそも裕福な人じゃないと議員になれないという実情も出てくるわけです。

若い世代の方だととくに難しくなります。専業で地方の議員をやったら家族を養えないわけですからね。そうなるとやっぱり議員になりたい人は当然、いなくなるんじゃないかという議論もあります。

一方で、地方自治体の財政はどこも非常に厳しいので、議員の定数を削減する、議員報酬を減らすという方向に行ったほうが、有権者の理解を得られやすいとかウケがよかったりという面もあるわけですよ」

議員活動を続けるための副業イロイロ

千葉 「そういう事情からか、最近だと副業をされる方も多くなってきたように思うんですが、本来政治家さんって副業は大丈夫なんですか?」

松田 「基本的には、市や区や村町などその自治体との請負関係にある会社に勤務していたりすると問題になりますけど、自分で会社をやられてたりとか、副業で不動産収入を得ているとかそういう形なら問題はないですね。

でも若い議員の方と接する機会が多いので、よく聞くんですが、議員になった以上よりよい政策を提案しないととか、議会でまとまって議会提案条例作りたいとか、いろいろ議会でしっかり仕事をしたいと考える議員からしたら『生活資金や政治活動費、次回選挙資金など、お金がないから政治活動の時間を削って副業するっていうのは本末転倒じゃないか』っていうのは、よく聞きます」

乙武 「その通りだね」

松田 「もっと政策の勉強や条例立案などに時間をかけたいんだけど、次の選挙を見据えた後援会の維持や自分の会報誌を作るといった活動にも時間を取られてしまうので、なかなか副業やっている暇はないという議員さんもいますし」

乙武 「なるほど」

松田 「一方で全然、働いてない人が、まあ年4回の本会議で出席が必要な時だけ来てね、あとはほとんど何してるんだか分からないというような議員も存在するというのは、いろいろなところでよく聞きますね」

乙武 「そうか。なんにもしなければ年間額面で700万円以上もらえて、そこから税金や社会保障費なんかを引かれても500万円くらいは確保できちゃうわけだもんね。

さっきの松田さんのお話で、1個『おっ!?』ってなったのは、不動産収入を副業としている議員さんもいるってところなんですけど、それだと時間取られなくていいなと思う半面ね、地方なんかだと地主さんがそのまま議員になるケースって少なくないと思うんですよ。

不動産収入はいいけどさ、不動産を貸してる相手が有権者っていうのは、OKなんですか?」

松田 「……。なるほど、面白い質問しますね」

乙武 「そこ、ややこしくないですか?」

松田 「通常の賃貸契約を結んで貸すんだったら、問題はないですよね。それに表向きには議員本人ではなくて、自分の親族や配偶者を社長・代表にしているケースが多いですし。

ただし、もしその場合でも、何か選挙のお願いをしつつ、通常家賃の相場が15万円なのに、10万円で提供しているとかなれば、これはやはり買収ないし、寄付の禁止に抵触する可能性があると思います」

乙武 「じゃあ相場より1万円だけ安いっていう場合は? だって有権者にとって月額1万円安くしてもらったら、これデカイじゃないですか?」

松田 「相場よりなぜ安いかという理由がはっきりしていれば問題はないんですけど。駅から遠いとか、ちょっと築年数が古いとか、どこか壊れてるとか。でも、なんとなく理由があるようなないような感じで 1万円安いっていうのはね…」

乙武 「グレーですよね!」

松田 「もちろん実態に即して判断ということになるんですけど、それだと警察も非常に取り締まりづらい部分だとは思いますね」

乙武 「この放送見た議員さんの中には『そうか不動産の収入かぁ』って思うかもしれないね。副業もできるし、ちょこっと安く貸すと有権者に『お願い』もしやすいのかって」

松田 「そういう疑われるような行動は、権力を握っている人たちは『李下に冠を正さず』じゃないですが、やらないほうがいいと思います。脱法的行為というか、誤解を招くようなことは、なるべくされない方がいいですね」

YouTuber 議員としての活動が『副業』として成立している人は?

**

**

乙武 「国会議員は副業 OK なんですか?」

松田 「国会議員で会社の代表をされている方とか多いですし、士業の方もけっこういますからね。弁護士とか医者とか、医療法人の理事長を務めている方なんかもいらっしゃいますね」

千葉 「YouTuberをなさっている議員さんも、最近増えてきましたね。副業になるんですか、これって?」

松田 「まあ、YouTubeの収益も副業の収入ということにはなりますけど。実際そういう形で活動費を集めたり、寄付を集めたりする方はいますね。

まあ、自分のやりたいことに集中できるということで、いろんな副業を上手に使われる政治家がいるということに関しては、全然問題はないと思いますよ。

それこそ政務活動費とか、税金で支給されているものをちょろまかすっていうよりも、自分の才覚で副業されるほうがね」

乙武 「でもさ、実際そこまで収入を得られるほどのアクセス数を稼げている国会議員なんている?」

松田 「うーん、YouTube ではいないですねえ。玉木さんは一生懸命やられてますけど、それほど大きな収入になってるってことはないと思います。やっぱり広く皆さんに国民民主党とか玉木さんご自身の考えを知ってもらいたいっていう広報的な意味の方が強いような気がしますよ」

乙武 「動画作るには製作費だってかかってるでしょうからね」

松田 「N国の立花隆さんはそういう意味ではYouTuberということでフォロワーも多くて、一時期は収入も多かったという話ですけどね」

乙武 「立花さんは、今現役の議員さんじゃないですもんね。YouTubeを副業にするのも、なかなか楽じゃないってことですかね。さあ、今回はここまで!チャンネルの登録や高評価、コメントなどよろしくお願いします!」

 

選挙ドットコムちゃんねるは毎週火・水・木曜日に配信中!

新感覚の選挙・政治情報チャンネル「選挙ドットコムちゃんねる」は毎週火・水・木曜日に新しい動画を公開しています!

選挙の裏側や真相系のネタは、「なるほど」とためになると同時にワイドショーよりも新鮮でおもしろく、エンタメ性も抜群かも…?!

ぜひチャンネル登録をよろしくお願いします!

チャンネル登録はこちらから>> 

 

© 選挙ドットコム株式会社