ロッテのドラ6は“掘り出し物”の宝庫? 2年目右腕が抱く種市への憧憬

ロッテ・古谷拓郎【写真:岩下雄太】

2年目を迎えた古谷は春季キャンプで1軍スタート

 二木康太、種市篤暉、さらに遡れば成瀬善久と同じドラフト6位でプロ入りしたロッテ・古谷拓郎。1年目の昨季はファームで6勝をあげ、2年目の今季は1軍プロ初登板、初勝利を目指す期待の若手投手で、春季キャンプは1軍スタートを切った。

 自主トレ期間中の1月上旬はワインドアップで投球していたが、1月中旬からノーワインドアップで投げ、このキャンプもノーワインドアップで投げている。本人によると、「オフシーズンのなかでも、何回かフォームが変わったりしているんですけど、それも良い方向にきているかな」と手応えを掴んでいる。

 古谷は、誰かに何かを言われなくても、考えてプレーできるのが特長だ。

「自分で研究したりして、人から与えられたものばかりやるよりは、しっかり自分で考えてやったほうが、その倍くらい自分の実になっていくと思います。やらされたメニューだけじゃなくて、しっかり考えて取り入れてやっていきたいと思います」

 このコメントは新人時代の5月に話していたもの。小野晋吾2軍コーチも、昨シーズン中に古谷のこうした姿勢に対し、「探究心はピッチャーにとって大事。とにかくうまくなりたいという貪欲さがある」と評価した。

憧れの種市との共通点はドラ6のみならず、毎日付ける野球日記も

 振り返れば、種市がブレーク前の2018年にも小野コーチは種市について「意識を高くもってトレーニングにしても、意識を高く毎日コツコツやっている。また、1流選手たちの話を聞くことが大事だという話はしています。その中で自分にあったものを取り入れて、合わなかったものを排除するように伝えています。そういう意識、志が高いことは良いことだと思います」と話していた。

 2人に共通していることは、ドラフト6位、探究心があること以外に、プロ入りしてから野球日記を書いていることが挙げられる。

「プロに入ってから毎日、何がよかったから何ができたとか、何ができなかったからこれができなかったとか、全部1日を振り返るようにしています」

 日記をつけるようになったきっかけについて、「高校のときにお世話になった人がいて、自分の実になるからという話をしてもらった。高校のときは時間がなかったので、振り返る時間がなかった。日記を書けるときは書けたが、継続してできなかった。今は寮に帰ってから時間があるので、しっかり1日振り返っています。明確に文字に表すと振り返ることができる」と教えてくれた。

 去年までは練習、試合が終わってからノートに書いていたが、「最近はいつでも書けるように小さいノートも用意して、練習の間とかに見て、気づいたことをすぐに書けるようにしています。持ち歩いている感じです」と、さらに事細かに記すようになった。

 古谷は1年目のときに「種市さんは同じ右ピッチャーで同じ6位で入って、2年目で1軍で初登板して投げている投手。すごく尊敬している。これから自分も1軍で話す機会ができれば、歳も近いので、どんどん種市さんにいろいろ聞けたらなと思います」と、語っていたが、なかなか話す機会がなかった。

 ここへ来てグッと距離が近づいてきたようにみえる。古谷は「先乗り自主トレで石垣島に入ったときに、せっかく1軍でやらせてもらえるということで、種市さんと一緒に練習ができるいい機会だと思った。そこから積極的に声をかけて練習したいと思っていた。それで一緒に自分から寄っていっているという感じです」と話す。具体的には「種市さんが自主トレで千賀さんから聞いた話とか、どんな練習しているかというのを還元してもらっている感じです」とのことだ。

古谷へは今季、ローテーションを勝ち取ることが期待されている

 期待をかけられる古谷は、キャンプ1軍スタートを切り、今季最初の対外試合となった8日の楽天モンキーズとの国際交流試合では、先発を任され、2回を1失点という投球内容だった。

「初勝利しないことには始まらない。1軍に早く上がれるように結果を出し続けるというか、全力で取り組むだけ。そこの目標は変わらない」

 楽天からFAで美馬学が加入し、石川歩、種市、二木康太、岩下大輝、小島和哉、佐々木千隼など先発候補が多い。大きく育てるならばファームで1年間ローテーションを守りみっちり投げ抜くのが理想ではあるが、1軍の競争に割って入るくらいの実力があるならば、先発ローテーションを勝ち取って欲しい存在だ。今季どのような成長曲線を見せるか楽しみな投手であることは間違いない。(「パ・リーグ インサイト」岩下雄太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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