イオン、2月の新祝日に「プチハレ需要」創出を目論む台所事情

「イオン」「イオンスタイル」を展開するイオンリテールは、2月22日から24日までの3連休に、本州・四国の約400店で「2020 春祝の市」を開催すると発表しました。

期間中は国産黒毛和牛や、刺し身の盛合せなど、「プチハレ」メニューを展開します。このタイミングでこうした企画を実施する背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。2月21日にメディア向けに開かれた「新祝日 三連休お祝い需要に向けた施策発表会」の内容から探ります。


1000円以下で「プチハレ」消費

卒業・入学シーズンを控え、「お祝い準備」の需要が高まるという2月。今回の取り組みは「自宅でお祝いメニューを楽しむ」機会を見込んだものです。1,000円以下の商品もあり、お祝いのメニューながら、手に取りやすい価格に抑えているようです。

企画の目玉となりそうなのが、「匠和牛かたローススライス」(100グラム当たり880円、税別、以下同)。肉質等級が4等級以上の品質で、その中でもきれいに霜降りの入ったものを厳選しているといいます。

「お刺身盛合せ(6点盛り)」(980円)は、マダイ、ホタテ、サーモン、イカを使い、上段にマグロを2山盛り付け。「家族で楽しむ彩り末広手巻」(1,280円)は、マグロのたたき、ツナ、えびきゅうり、サーモンイクラなど、5種類の巻きずしを盛り合わせた内容です。

ほかにも、ローストビーフ、ローストポーク、鴨のローストなどを盛り合わせた「オードブルセット」(1,480円)を販売。ワインやシャンパンとの相性が良く、昼からの祝いの席で食べることも想定しています。

イオンリテールの栢野博子・マーケティング企画部長によると、お祝いの「紅白」にかけて、刺し身や肉、ワインなどをラインナップ。「食卓に並んだ時に、晴れやかなイメージ」になるものを選んだと説明します。

消費意欲指数は歴代ワースト2位

博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所の調査によると、今年2月の消費意欲指数は41.4点。前年比マイナス0.6ポイントで、歴代ワースト2位となりました。「今年の年末年始は最大9連休だったこともあり、引き締め意識が強まった」と分析しています。

そうした中でも、イオンリテールが今回の企画に期待を寄せるのは、今年から2月になった「天皇誕生日」の効果。節約意識が高まる中、3連休で「卒入学などのお祝いしたい」というニーズに、家で食べられる「プチハレ」メニューで応える狙いです。同社では前年の同じ時期の3日間と比べて、1割増の売り上げを目標とします。

「消費増税後、なかなか財布のヒモは緩まない。2月は家庭消費も若干落ちる月ですが、初めて祝日が増えました。消費にプラスとなるチャンスととらえている。内食の需要が高まっているので、家庭の中でおいしいものを作って、食べていただきたい」(栢野部長)

食品のほかにも、卒入学式シーズンに使える「セレブレイトスーツ」のセットを同時に展開。相乗効果で売り上げが伸びることを期待しているといいます。

イオンリテールの1月の月次売上高は、既存店が前年同月比1.4%減と伸び悩みました。節約志向の強い2月を「プチハレ」消費で乗り切ることはできるでしょうか。

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