プロの演奏家が客のこだわりや予算に合わせて、楽器を選ぶサービス「MOUTON STORE」が2月、全国展開をスタートした。世界初の取り組みといい、サービスを提供するサイト代表の松下洋さん（32）は「同じ楽器でも響きなど個体差がある。音楽と真剣に向き合う人ほど、自分に合った楽器を選ぶことが大切」と話している。
松下さんと、サイトを運営する「Mouton＆Company」（横浜市瀬谷区）代表の奥野祐樹さん（28）は、ともにプロのサクソフォン奏者として活躍。松下さん自身が初めて楽器を購入した中学時代に最良の選択をすることができなかった苦い経験を持つことから、「楽器との最初の出合いを最上のものにできたら」とサービスを思いついた。
対象の楽器はフルートやオーボエなど金管と木管の10種類。次代を引っ張る実力派として国内外で活動するサクソフォン奏者の上野耕平さん（27）ら50人のトッププロが選定し、客は奏者を選べる。上野さんは「実際に吹かないで買う楽器ほど怖いものはありません。責任を持ってお選びします」と意気込む。
現役の吹奏楽部員が全国で100万人以上を数える状況などを踏まえ、関東圏の中学・高校の吹奏楽部などを対象に音色や吹き心地などをプロが厳選した「選定楽器専門店」として、昨年8月に起業。「憧れの奏者に選んでもらい、モチベーションが上がった」などの反響があったことから、部活動に打ち込む生徒はもちろん、「専門店がない地方在住の一般の愛好家も選定品を手にする機会を」と、5日に規模を全国に拡大した。
購入希望者は、公式サイト内の専用フォームから問い合わせる。使用目的や予算などに合わせ、プロがセレクトする。手数料として店舗での販売価格の15％を支払う。本体価格が30万円以下の場合は一律3万円。
詳細は、同サービスの公式サイト（http://mouton-store.com）。
