台所から問う性別意識 来月1日 青葉で講演会

家事の合理化を追究して誕生した「フランクフルト・キッチン」(横浜市民ギャラリーあざみ野提供)

 芸術とジェンダーの視点から台所の歴史をひもとく講演会が3月1日、アートフォーラムあざみ野(横浜市青葉区)で開かれる。システムキッチンの原型として知られる「フランクフルト・キッチン」が生まれた経緯を、1人の建築家の歩みとともに振り返る。

 講師はジェンダー論などが専門の田丸理砂・フェリス女学院大教授。フランクフルト・キッチンを考案したウィーン出身の女性建築家、マルガレーテ・シュッテ・リホツキィ(1897~2000年)の足跡をたどり、家事と建築の関わりを解説する。

 同キッチンは、1920年代にドイツ・フランクフルトで大規模に進められた住宅団地建設事業の一環で誕生。女性の本格的な労働を見据えたリホツキィは、台所仕事の中心を担っていた女性の負担を軽減しようと設計に工夫を凝らした。

 収納など作り付けの設備を整え、狭い空間でも手際よく調理ができたり、台所から食卓までの距離を短くしたりするなど、家事の合理化を追究。多くの女性が期待を寄せたという。

 同キッチン誕生の背景を知ることは家事労働の分担について考える一助にもなると主催者。「台所は女性だけが立つ場所ではない。建築史を学びつつ、今なお根強い性別役割分業意識を問い直すきっかけにもなれば」と話し、男女を問わず気軽に参加してほしいと呼び掛けている。

 午後2~4時。参加費500円。定員40人。問い合わせは横浜市民ギャラリーあざみ野電話045(910)5656。

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