働く主婦たちが「子育てとの両立で利用したいサービス」、断トツの1位は?

小泉進次郎環境大臣の育休取得は賛否両論を巻き起こしました。論争が起きるということは、男性の育児がまだまだ社会に浸透していないことの裏返しとも言えます。

日本では、育児は女性がするものという認識が根強く残っていると感じます。その呪縛がある限り、子育ての負荷は女性の方に重くのしかかりがちです。

仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦”にとっては、子育ての負荷が減らないままでは、働けば働くほど心身を疲弊させてしまうことになります。

では、どんなサービスがあれば働く主婦は助かるのか。純粋にサービス自体のニーズを探るため、金銭面での負担は考慮しないという条件で調査してみました。


最も利用してみたいのは家事代行

しゅふJOB総研では、働く主婦層に「もしあなたが子育てと仕事を両立させなければならない場合、補助等で金銭負担を考慮しなくて済むとしたら、利用してみたいと考える民間サービスはありますか?」と尋ねてみました。結果は以下の通りです。(n=999)

有効回答数999人

最も多かったのは「家事代行」の55.8%。半数以上が利用してみたいと回答しました。選択項目の中で断トツです。次いで多かったのが「民間学童保育」で37.5%。「塾等への送迎サービス」が36.9%と続きました。

経済産業省が公表した「平成26年度女性の活躍推進のための家事支援サービスに関する調査」によると、家事支援サービスの利用率は現在・過去あわせて約3%。他にもお子さんがいる女性に絞った民間調査などもありますが、家事代行の利用経験者は2割程度にとどまります。

もし本音では、働く主婦層の過半数が家事代行を利用したいと考えているとした場合、ニーズを満たせているのはその一部でしかないことになります。仮に、財源をどうするかという問題をひとまず横において、家事代行サービスが無料で使えるシステムができたとしたら、利用者数は爆発的に増える可能性があります。

また、子どもが小学校に上がると、俗に小1の壁と呼ばれる問題が生じます。学童保育は保育園より預かり時間が短くなるケースが多いですが、預かり時間の融通がききやすい民間学童保育が気兼ねなく使える環境であれば、助かるご家庭は多そうです。

潜在ニーズが高いサービスは多い

3位に「塾等への送迎サービス」が入っていますが、慌ただしい時など、送り迎えの時間にはやきもきしてしまいます。そんな時、車での送迎であれば事故の原因にもなりかねません。

また、日頃は子どもが一人で通っている場合でも、不審者情報があったり、雨風が強い時など、臨時で送迎を外部に頼むことができれば助かります。

およそ3割の人が利用を希望している病児保育も常に必要なサービスではありませんが、いざという時にとても心強い存在です。どうしても仕事が休めない時、熱を出した子どもとの間で板挟みにあったという話を聞くと、もっと普及して欲しいと願わずにはいられません。

他にも「ベビーシッター」や「認可外の保育施設」も、利用してみたいと考える人は全体の1/4程度います。潜在的ニーズの高さを感じます。

育児の負担はご家庭によってそれぞれ

利用したいサービスの「その他」のフリーコメント欄には、ピンポイントかつ多種多様な要望が寄せられました。それらの内容を見ると、欲しいサービスはご家庭によって様々であることがわかります。

「保育園で利用する縫い物の代行」「ペットの散歩」「子供うけする可愛いお弁当を作ってくれるサービス」「夜食デリバリーサービス」「受験期の塾や学校の宿題の学習サポート」「弁当ではない食事宅配サービス」「洗濯して乾燥して分けて畳んで宅配してくれる」

一方で、「子供に関しては産んだ時点で自分の責任なのだから、補助金をあてにするような事の無いよう育てたい」という声もありました。手厳しい声にも聞こえますが、猛暑の中、車内に放置された幼子が亡くなったという報道などを目にすると、親としての責任の自覚も大切な観点だと考えさせられます。

ただ、子育てに外部の力を借りることは怠慢だ、と見てしまう考え方については注意が必要です。子育ての考え方も、ご家庭によって様々です。母の手料理には、確かに特別な美味しさがあるかもしれません。しかし、中には料理が苦手な人もいます。シングルマザーやシングルファーザーなど、否が応でもワンオペにならざるを得ないご家庭もあります。

外部サービスは“家族”を助ける

家事代行に代表される外部サービスは、女性を助けるサービスではありません。家事や育児に携わる人みんなを助けるサービスです。本来、家事や育児は女性だけが行うものではないはずです。男性はもちろん、子どもたちだってある程度大きくなったら家事の戦力です。

各ご家庭のニーズに合わせて外部サービスには様々な種類があり、その用途はバラバラです。しかし、共通しているのはそこに新たな“時間”が産まれるということです。

家事や育児は、家庭運営するために欠かせない務めですが、外部に任せることで産まれた時間を有意義に使うことができれば、日々の生活の中に新たな彩りを加えることにもつながります。

外部サービスは家事育児の負担を軽減するという意味で有用ですが、それだけではなく、家族の時間をより豊かなものにする意味でも有用なのだと思います。

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