半数近くが「披露宴のみ」を選ぶ県も データで見る「結婚式の地域性」

親世代は結婚式を挙げることが当たり前という感覚があるかもしれませんが、婚姻届を出すだけの「ナシ婚」から伝統的な「派手婚」まで、多様化の令和時代のふたりのスタートの形に正解はありません。ふたりでずっと一緒にいたい、支えあっていきたい、といういわゆるラブラブな気持ちがあることが最優先です。

とはいうものの、結婚式をあげることにしたカップルが、一体どんな式をしたのか知っておきたい、という読者の皆さんもいるかもしれません。今回はイマドキの結婚式の姿をデータでみてみたいと思います。


今回利用するオープンデータは、経済産業省が「冠婚葬祭業」と定めて報告を義務(※)づけている企業・団体が提供するサービスとしての結婚式を利用した人の最新(2017年)動向となります。ありとあらゆるイメージ上の結婚式を網羅しているものではないことをもう一つの前提として読み進めていただきたいと思います。

※:経済産業大臣から調査対象に指定された事業所・企業には、調査票を記入し報告する義務があります(統計法第13条)。そのうち、冠婚葬祭業の中の結婚式場業務を扱う企業団体を抽出しています。

挙式のみが多い都道府県は?

経済産業省が実施している「特定サービス産業実態調査」の2017年の結果からは、結婚式場業務を扱う企業団体が提供するサービスで結婚式を挙げるカップルにおいては、披露宴+挙式の両方を行う結婚式が圧倒的多数の89.7%となっています。その次に挙式のみのカップルが7.3%と続きます。

まずは、「挙式のみの結婚式(挙式のみ婚)」が多めの都道府県があるのかをみてみたいと思います。

こうしてみると、都道府県間の割合の差異がそれなりに大きい結果ですので、全国レベルだけでみて「結婚式はこうでなくては」という早合点の思い込みをしてしまわないようにしたいものです。

高地では半数近くが披露宴のみ

次に、披露宴のみ、という結婚式(披露宴のみ婚)が多めの都道府県があるかをみてみます。

これもデータエビデンスではありませんが、四国在住の方からは、四国の中でも高知県はみんなでワイワイやることを重視する文化が強めに思える、との意見がでています。

高知の観光名所ともなっている「ひろめ市場」にある飲み食いする屋台広場に代表される、たくさんの人々が集まってざっくばらんにとにかく楽しく飲み食いすることが大好き、という地域性です。

この「ひろめ市場」、実は四国の別のエリアでも流行らせようとしたものの、うまくいかなかったそうです。「結婚式? なんといっても披露宴がメインだ!」という熱い意気込みや独特な盛り上がりが背景にあるのかもしれません。

披露宴のみ婚が全国平均の倍以上となる6.0%以上のエリアが10エリアありますが、先ほどの挙式のみ婚で上位にきた愛媛県に、そして披露宴のみ婚で全国平均の2倍以上の割合を示しているエリアの中に、高知県、香川県、徳島県と足すと、四国4県すべてがそろいます。

2つのデータからは、四国エリアは全国水準からみるとかなり個性的な結婚式を選ぶ傾向がある、ということが指摘できます。

どんな形でもすばらしい

筆者の周りのカップルからは、

「(どちらかが)学生だったので、写真館で写真のみでした」
「新入社員時代なので、式場ではなくてレストランで、お料理以外は手作りで会費制にしました」
「義理親が海外駐在だったので、自動的に海外挙式となり、ごく一部の人だけ呼びました」
「夫はバンドが趣味で、式で演奏を披露することになり、思い切り大音量婚となるのでホテル婚は無理でした」

などの声が聞こえてきます。

お金をかけた盛大な挙式がふたりのスタートでなくても、一人より二人でともに頑張っていきたいものです。結婚への原動力は、挙式をする・しない、お金をかける・かけないも含め、あらかじめ決めた条件に到達することにあるのではなく、そんな条件は未達でものりこえようとする気持ち、というところにあるのかもしれません。

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