「金玉千本くじ全日本選手権」とは?
金玉千本くじという競技をご存じでしょうか?お互いの金玉に紐をくくりつけ、ダミーの紐を6本用意し、順番に引き合い、先に金玉を引かれた方が負けという競技です。
金玉千本くじは競技人口は少ないものの、次回オリンピック種目になるのではないかと常に注目されています。
どのような競技かといいますと、ジャンケンに変わる競技として普及しておりまして、まず、お互い向かい合って競技台に座ります。そこで、レフェリーが間に板を置いてお互いの手の内がわからないようにして、セットというフェイズにはいります。金玉に繋いだ紐に加えて、ダミー紐を6本、相手に見られないようにフォーメーションを組みます。
その後、コイントスをして、先行後攻を決めます。
先行が圧倒的に有利な競技であるため、後攻で相手を倒すというのが、美徳とされています。
次に、サーチというフェイズに入ります。
相手のどの紐が金玉に繋がっているのか、毎ターンひとつだけ質問をすることができるので、その質問を頼りに当たり紐を見つけ出すのです。
ここで、初心者がやりがちなところは、自分の当たり紐がどれなのかわからず、心理戦に持ち込めないこと。
どれが当たり紐なのかわからず適当に引き合うのもおもしろいのですが、やはり、お互いが自分の当たり紐を把握しつつ、心理戦で進めて行くのがこの競技の醍醐味なのです。
続いて、ロックオンというフェイズに入ります。ロックオンとはどの紐を引くかを決めることです。
「ロックオン!」と大きい声で言いましょう。
次にレフェリーがカウントダウンをしてくれます。
「5.4.3.2.1.アタック!!」
アタックという掛け声と共に、潔く紐を引っ張ります。
そこで、金玉を引いたら勝利。引けなかったら相手のターンとなります。
負けられない戦い、開始
そんな、日本古来の伝統競技、金玉千本くじの全日本選手権が、2020年2/23(日)の夜に阿佐ヶ谷ロフトAにて開催されました。
今回、エントリー費は1000円で、試合の直前に、礼をしてから、競技台に置かれた優勝カップの中に、1000円を入れ戦います。
今回、特別ルールとして、追加で1000円を優勝カップの中に入れると、コイントスをカットし先行後攻を決めることをできたり、相手の紐を一本減らしたりできます。
優勝者はエントリー費を総取りなので、たくさんお金を使っても優勝さえすれば投資した分が確実に返ってきます。
お金を注ぎ込めば注ぎ込むほど、負けられない戦いが繰り広げられます。
18時に開場しまして客入れが始まりました。選手たちは皆、思い思いに金玉のウォーミングアップをしております。
19時になると、イベントが開演し、司会の原田豪紀さんが登壇し、前説を始めました。
その後、コメンテーターの方が呼び込まれ壇上にあがります。
今回のコメンテーターはこの3名が登壇しました。
ヤジリン(クレイジークリエイター)、めりぴょん/山野萌絵(ライター・阿佐ヶ谷ロフトAイメージガール)、渡辺隆(錦鯉)
続いて、エントリーした人が名前を呼ばれ、壇上に上がっていきます。
今回は数々の強者がエントリーしてきてくれました。
今回エントリーした方々はこちら。
セクシー川田(金玉千本くじ絶対王者)
タチバナビッチ(金玉千本くじ世界ランキング2位)
ベティ(クリノス革命)
エムリナ
ロングホーン尾崎
横須賀歌麻呂(地下芸人の帝王)
ルンルンキンジョウ
リカヤ・スプナー(ハイテンション・国際俳優 出場辞退)
ソシコ ジョニー小野
山崎尚哉(阿佐ヶ谷ロフトA)
中谷泰明(中谷酒店代表・阿佐ヶ谷ロフトA)
レフェリー:佐藤C作
エントリーした方々が壇上へあがり、絶対王者であるセクシー川田さんの金玉演舞が披露されます。
中国のBGMと共に、セクシー川田さんが踊り狂います。
その後、ルール説明があり、試合が順番に開始されます。
今回のトーナメント表はこちら。
対戦相手は天下一武道会のようにくじ引きで決められます。
くじ運の強さも、優勝には欠かせない実力です。
19時半から緊張の第1試合が始まりました。コメンテーターの解説が入りながら闘いは進んでいきます。
男なら誰しも、一度は金玉を強打したことがあると思います。息ができなくなり、涙が止まらなくなり、穴に入って一人で過ごしたいというくらい他者との接触を断ちたくなるのですが、そこをお互い向かい合い、睨み合い、金玉を引っ張られる前に、相手の金玉を引っ張らなくてはいけない。金玉を引っ張られたくないという恐怖を克服し、自分と同じく相手も金玉を引っ張られないために、全力で闘う。こんな尊い競技が他にあるでしょうか。しかし、現実は厳しく、一回戦から順々に、一人ずつ金玉を引っ張られて敗退していきます。
試合開始
第一試合 山崎尚哉VSロングホーン尾崎
勝者、ロングホーン尾崎
第二試合 タチバナビッチVSルンルンキンジョー
勝者、タチバナビッチ
第三試合 ベティVS中谷
勝者、中谷
第四試合 横須賀歌麻呂VSリカヤスプナー(棄権)
勝者、横須賀歌麻呂
第五試合 ソシコVSロングホーン尾崎
勝者ソシコ
第六試合 タチバナビッチVSジョニー小野
勝者、タチバナビッチ
第七試合 エムリナVS中谷
勝者、中谷
第八試合 タチバナビッチVSソシコ
勝者、タチバナビッチ
第九試合 横須賀歌麻呂VS中谷
勝者、横須賀歌麻呂
ここまで、試合が進んで、わかったことは、大金を注ぎ込めば勝てる確率が大幅に上がるということです。金玉千本くじ世界ランキング2位のタチバナビッチさんは、大量の1000円札を使用し、相手の紐を減らしていく戦法により、無事決勝に進出。
あとはうまく、くじ引きでシード権を獲得した横須賀歌麻呂さんも無事決勝に進出。
決勝はふたりの一騎打ち、お互い課金なしで闘います。
決勝 横須賀歌麻呂VSタチバナビッチ
勝者、横須賀歌麻呂
決勝も無事に終え、優勝と賞金総取りは横須賀歌麻呂さんに決まりかけた所、突如、敗者復活戦をすることになり、急なお客さんのエントリーも交えて、敗者復活に残った人(挙手制)は壇上に上がって、自分の金玉に繋がれた紐をランダムにレフェリーが持ち、一本ずつ、コメンテーターのめりぴょんが引っ張っていき、金玉を引っ張られなかった人が決勝に行けるという新ルールが追加。この大会、くじ運がいいか、後から参加した奴らが有利なのでは?という話になりましたが、誰ももう金玉を引っ張られたくないので、なかなか敗者復活戦に臨む人は少なく、勇敢な3名(ヘブリスギョン岩月、ロングホーン尾崎、一般のお客さん)がステージへあがります。
めりぴょんがレフェリーの手にランダムで配置されている紐を一本ずつ引っ張っていきます。
見事、めりぴょんに金玉を引っ張られずに、決勝に残ったのはアーネストという名前の、一般のお客さんでした。
決勝は、横須賀歌麻呂さんと、アーネストさんの戦いになり、熱い戦いが繰り広げられます。
観客席からのサポートがあり、2000円により服を脱がされてしまうレフェリー。1000円札の力は無限大です。
さらに観客席が6000円を注ぎ込むことにより、突如決勝に上がったお客さんの紐を2本まで減らし、先行を奪取することに成功。しかし、1/2で外してしまう横須賀さん。
ここで、決められたら最後。突如、決勝まで進出したお客さんに賞金を総取りされてしまう。
「スカッ!」
なんとか、持ち堪えた横須賀さんは、残り一本となった紐を力強く引っ張る。
真の決勝 横須賀歌麻呂VSアーネスト
勝者、横須賀歌麻呂
見事、優勝は横須賀歌麻呂さんに決定致しました!賞金総取りです。
謎のトーナメント表
しかし、金玉千本くじはここで終わりません。
この謎のトーナメント表によると、これから絶対王者であるセクシー川田さんとの戦いが控えています。
これは天下一武道会でいう、ミスターサタンのポジションです。
出囃子と共に、セクシー川田さんが登場しました。
両者、向かい合い睨み合います。
腰には、札束が入っていました。絶対王者なのに姑息な手段を使うようです。
3千円を優勝カップの中に入れて、紐を減らす宣言をします。
絶対王者の癖にきたねえ!と観客席から声があがりかけたところ、なんと、セクシー川田さんは自分の紐を3本減らしましました。
会場がドッと湧きます。
「カーワタ!カーワタ!」
それから、1000円を追加して、先行後攻を選べるチャンスを得ます。
「後攻で。」
なんと、自腹で自分の紐を少なくした挙句、相手に貴重な先行を譲ってしまいます。
横須賀さんが「なめやがって。」と言いながらセクシー川田さんの紐を全力で引っ張ります。
「スカッ!」外してしまいました。
次は、セクシー川田さんが攻める番です。
おもむろに、横須賀さんの顔色を見ながら紐を吟味していき、一本、これだ!というのを全力で引っ張ります。
なんと、1/7の確率を引き当てました!さすが絶対王者です!まさに神の子!絶対王者の地位を守り抜きました。
金玉千本くじ全日本選手権は無事、終了いたしました。たくさんのご来場ありがとうございます。
人間というものは古来より争いが絶えず平和的に物事を解決するように競技というもの編み出しました。金玉千本くじもその中のひとつです。金玉というのは男としてすごく大切な部位ですが、あくまで、生殖のためのものであり、本来このように引っ張り合うように出来てはおりません。しかし、男は全員金玉の痛みを共感できます。本当はお互いの気持ちを理解し、認め合い、高め合うために、金玉は存在しているのかもしれません。
(文・山崎尚哉 (阿佐ヶ谷ロフトA/写真・いんちき)