【緊急現地報告】新型コロナ感染拡大のイタリア、現地スーパーからパスタが消えたワケ

世界中で猛威をふるい続ける新型コロナウイルス。これまでは中国や韓国、日本、シンガポールなど主にアジアの国々で感染が拡大していましたが、ここにきてイタリアの感染者数が急増しています。

現在のミラノの様子や、観光への影響などをまとめてお伝えします。(本記事は原稿執筆時である2月24日23:00時点の情報をもとにしています。)


バールやレストランを閉鎖

2月21日、イタリア北部のロンバルディア州コドーニョに住む38歳の男性が呼吸器系の症状を訴えて病院を受診したところ、新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。

さらに、この男性の家族や友人、会社の同僚、サッカー仲間、行きつけのバールの常連客など、直接接触があったと思われる人々に対して検査を行ったところ芋づる式に感染者が見つかり、イタリア全土に大きな動揺が広がっています。

新聞ではこの男性の最近の動向が詳細に報じられている

この事態を受け、コドーニョをはじめ感染者が確認された11の自治体では、住民に不要不急の外出を控えるよう呼びかけ、バールやレストラン、公共施設など人の集まる施設を閉鎖しました。

翌22日にはコンテ首相がウイルスの封じ込めに「あらゆる手段を講じる」と述べ、感染者の見つかった自治体そのものを隔離下に置くことを発表しました。現在、これらの自治体につながる道路には警察や軍により検問が敷かれ、住民の出入りを原則禁止する措置が取られています。

イタリアの感染者数は2月24日23:00の時点で229人。ただ、同首相はこの感染者数について「数日内にさらに増える可能性がある」と警告しており、イタリアは北部を中心に強い警戒感に包まれています。

ミラノのスーパーに市民殺到

今回感染者が確認されたコドーニョは、イタリア第二の都市であるミラノから南東に50kmほどの場所に位置しています。そのため、イタリア国内ではその影響を懸念する声も少なくありません。

すでにいくつかのメディアでも報じられていますが、ミラノ市内のスーパーマーケットには封鎖を恐れた市民が食料品の買いだめに殺到し、棚から商品が消える事態になっています。

実際に訪れてみると、野菜や肉、果物などの生鮮食品は十分購入できるものの、保存のきくパスタや小麦粉、砂糖のほか、消毒用アルコールや除菌ハンドソープなどはほぼ品切れの状態です。

パスタの棚はほぼ品切れ状態に

また、大学を含む州内のすべての学校は24日以降、1週間ほど休校とする措置が取られており、生徒は自宅での待機を余儀なくされています。この休校措置には修学旅行や研修旅行なども含まれており、オンラインで受けられる講義を除き、すべての教育活動が休止となっています。

ドゥオモや美術館も閉鎖、観光に影響大

今回感染が確認された北部イタリアは、ミラノ、ヴェネチア、トリノなど世界的に有名な観光地を擁するエリアです。そのため、観光に対する影響を懸念している人もいるかもしれません。

ミラノでは現在、大聖堂(ドゥオモ)や美術館など、主要な観光施設の多くは閉鎖されており、イベントの開催も原則禁止されています。休館となる期間は各施設により異なりますが、現段階ではおおよそ1週間程度としているところが多いようです(ドゥオモは2月25日まで)。

また、毎年世界中から多くの観光客が訪れるヴェネチアのカーニバルは、閉幕を2日前倒しして、23日の夜中をもって終了となっています。

イタリアの新型コロナウイルス感染者数は2月20日の段階でわずか3人でしたが、ここ数日間で一気に膨れ上がりました。短期間で世界で3番目に感染者数が多い国となったため、国全体が少しパニック気味であることも否めません。

ただ、現在はコロナウイルスを封じ込めるための対応策を協議している段階であり、情報も1日の間に大きく変わる可能性があります。旅行やビジネスなどでイタリアを訪れる際、特にここ数日は常に最新情報をチェックしておくことをおすすめします。

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