6人乗りと8人乗りの性格づけ
グランエースの試乗会では6人乗りだけでなく、8人乗りの「G」にも乗ることができた。
ズバリ8人乗りでは、全列に乗車させる場合は足元が狭い。
「5.3mもの長いボディを持つのに?」と思うが、実は車体の2/5はボンネット+前席が占めていること、8人乗りでは2列目がボリュームのある「エグゼクティブパワーシート」なのも手伝って、3列目、4列目のシートは小振り。しかも2→3→4列と、シートのグレードがだんだん落ちてゆく。
これならすべて座り心地、サイズともに適切な3列目を全席に…とも思ったが、4列目は畳んでおけば広いラゲッジスペースが生まれるので、通常ではリッチな2列目、さらに3列目までを使用し、いざというとき4列目を使ってフル乗車、という使い方には適しているのかも、と思った。
しかし宿泊施設や空港への送迎車としての用途だと、6人乗れるか8人乗れるかの差が大きい場合もあり、8人乗りの存在意義も大きい。
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ホテルや旅館、空港・企業送迎、ワゴンタクシーに最適?
トヨタ車体が開発し、同社いなべ工場で生産、トヨタが発売するグランエースの販売目標は年間600台と少ないが、発売後40日段階での受注は900台以上(!)に達しているという。
目標が控えめなのは、日本にはこれまで送迎に適した設計を当初から持つ高級ミニバン(トヨタではグランエースをワゴンと称している)というジャンル自体がないため、売ってみないと市場の反応がわからないゆえだろう。
でも実際の受注台数を見てわかるとおり、多くの企業や高級ホテル・旅館、空港への送迎を行う業者やワゴンタクシーを運用する企業には、「あったらいいな」というイメージにドンピシャだったグランエースには、大きな注目を寄せているのではないだろうか。
ちなみに受注内訳のうち7割が法人で、全体の6割が「プレミアム」とのこと。グランエースを法人ユーザーのみならず、個人ユーザーも購入していることは興味深い。
大きなサイズでキャンピングカーにも向いており、ハイエースのスーパーロング・ワイドに替わり、バンコンバージョンのベースとしても流行するかも!?
今後は駅前、空港、街中などでその姿を見る機会が増えそうだ。グランエースは、その大きな存在感で、日本の街の風景を変えていくクルマになるかもしれない。
[筆者:遠藤 イヅル/撮影:茂呂 幸正・MOTA編集部]