ブラック企業、社員の心身を壊す職場環境や業務負荷を与える企業が現在社会的に大きな問題になっています。そのブラック企業では新人研修から過酷であることが少なくありません。今回はブラック企業の新人研修についてその内容から、なぜ過酷な研修を行うのか、また、新人研修がブラックだった場合の対処方法をご紹介します。
ブラック企業の過酷な新入社員研修にはどんなものがあるの?
肉体的に過酷なプログラム
ブラック企業の新人研修の特徴として挙げられるのが、肉体的に非常に過酷なプログラムであることです。もちろん、研修として体力が必要となるプログラムを用意することは、普通の企業でもあります。そのため、体力が必要となる研修が行われたからといって、ブラック企業であるとすぐに決めつけるのは早いでしょう。
ただし、その内容が十分な睡眠も取れないほど過酷なものであったり、けがをしていたり、体調を崩している社員にも強要している場合などは、ブラック企業と考えてよいでしょう。
極端に少ない睡眠時間
人間は睡眠時間が不足すると正常な判断ができなくなってしまうものです。ブラック企業の新人研修では、社員の正常な判断力を奪うためにも長時間にわたる研修プログラムを組み、受講者に十分な睡眠時間を与えないといった場合があります。
もちろん、このように睡眠不足な状態で体力的にも過酷なプログラムを課されれば、思わぬ事故を引き起こす原因にもなりかねず、非常に危険な行為です。
徹底的な人格の否定
通常の新人研修でも、講師から注意を受けることやアドバイスをもらう機会はあります。一方、ブラック企業の新人研修の場合、注意という範疇には収まらず、徹底的な人格否定が行われます。まるで、生きる価値もないかのように、今までの生き方から、人格まで否定されるような新人研修はブラック企業の特徴です。
さらに、このような人格否定は、何か自身がミスを犯したときに行われるとは限りません。何もしていなくとも、人格を否定するような叱責を受ける場合があるのです。
研修中のパワハラ・セクハラ
受講者を叩いたり、胸ぐらをつかんだりといった、暴力的な行為は許されることではありません。ブラック企業の新人研修はこのようなパワハラを伴う場合があります。
言論は、すぐにパワハラとは認定できませんが、人のいる場所で見せしめ的に何度も罵声を浴びせるなど、かなりグレーな行為が行われることもあるでしょう。もちろん、注意や叱責は会社生活では起こり得ることです。しかし、ブラック企業の新人研修では、そのような行為が常識の範囲を超えて行われています。
また、パワハラだけではありません。異性からの接触を強要されるなど、セクハラ的な行為が行われたり、言葉を浴びせられたりすることもあります。
病気・けがでも適切な処置を受けられない
研修中、病気にかかることや研修プログラムの中でけがを負うこともあるでしょう。ブラック研修の場合、けがや病気でも適切な処置を受けられないこともあります。
実際に、裁判となった事例を1つご紹介しましょう。福岡市の太陽光発電設備施工などを手掛ける株式会社サニックスの新人研修では過酷なプログラムを課した上で、研修中にけがをした社員に適切な処置を行わなかったそうです。この社員は、最終的には右足の膝に障害が残る結果になってしまいました。
このように、適切な処置を受けられなければ、障害が残ってしまったり、最悪の場合、生命の危険にさらされてしまうこともあるでしょう。
参考
「ブラック研修」で健康被害 会社の責任を認める画期的判決!|Yahoo!ニュース
外部との連絡手段の謝絶
日常生活において、スマートフォンをはじめとした連絡手段は欠かすことができないものであり、常に携帯している人が大半でしょう。ブラック企業の新人研修では、研修が始まる前にそれらの連絡手段をすべて取り上げられてしまうことがあるそうです。
これにより、研修中に何かトラブルに巻き込まれても外部に相談したり、助けを求めたりすることが不可能になります。もちろん、研修の講義中にスマートフォンの使用が制限されるのは当然といえど、自由時間においても外部との連絡手段を断つ会社の研修は注意した方がよいでしょう。
研修費用が自己負担・研修が無給
ブラック企業の新人研修では、会社の業務を行う上で必要な研修について、会社の指示で受講しているにもかかわらず、新人研修費用が自己負担であったり、研修が無給であったりする場合もあります。
新人研修でさえこのような取り扱いの場合、そのほかの局面でも会社が負担すべき費用の負担を社員が求められる可能性も高いのではないでしょうか。
ブラック企業の過酷な新入社員研修はなぜ行われるの?
なぜ、ブラック企業はこのような新人研修を実施するのでしょうか。NPO法人POSSE代表・今野晴貴氏によると、その目的は「新入社員たちをある種の『心神喪失状態』に追い込み、正常な思考を奪い去ること*1」だそうです。このような心神喪失状態をつくり出すことで、社員に会社の価値観を刷り込み、会社が間違っているであるとか、ブラックであるという疑念を抱かないようにさせるというのです。
一度、社員をこのような状況に追い込めば、さらに、研修が終わってから通常の業務で大きな負荷を与えても、もはや、辞めようという考えも思いつかなくなるといいます。つまり、ブラック企業は自分たちにとって都合のよい社員をつくり出すためにこのような新人研修を行っているのです。
(*1:現在進行中!ブラック企業の「洗脳研修」に気を付けろ!|Yahoo!ニュースより引用)
もしも、新入社員研修がブラックだったら
研修プログラムなどを書き留める
新入社員が、新人研修をこれはブラックだと断定するのは困難かもしれません。なぜなら、せっかく入社した企業がブラックであるというのは信じたくない事実ですし、「自身の経験がないだけでもしかしたらこれが普通かもしれない」と考えてしまう可能性があるからです。
迷った場合は、まず、プログラム内容や起こった出来事、言われたことなどについてメモを取っておくとよいでしょう。そうすることによって、誰かに第三者的な判断をしてもらうことができ、実際にブラック企業であった場合に外部機関に相談する材料になるでしょう。
外部機関に相談する
日本労働弁護団や労働基準監督署など労働問題を取り扱う専門機関はあります。被害にあった場合はこのような外部機関に相談してみるのもよいでしょう。
特にブラック企業によっては、社員を簡単に辞めさせてくれない場合もあります。このような場合、外部機関は大きな力となるでしょう。
なるべく早く退職をする
会社がブラック企業であった場合、すぐに退職に向けた準備をした方がよいでしょう。転職活動を行うことはもちろん、心身が限界であれば、転職先が決まる前に退職することも視野にいれた方がよいかもしれません。
一度壊された体や心はなかなか完治するものではありません。まずは自分自身を第一に考え、行動しましょう。
まとめ
今回はブラック企業の研修についてご紹介しました。ブラック企業の研修内容は人権を無視したような、非情なプログラムである場合があります。このような研修に遭遇した場合は、「この研修さえ乗り越えればよい」と考えず、「職場は研修と同様にブラックである可能性が高く、本当にそのような組織で今後も勤務していくことができるのか」ということを考えましょう。
参考
“驚愕のブラック”マッサージチェーン!4日間睡眠時間ゼロの社員研修、会議の締めに男性社長と強制ハグ…|LITERA
新入社員が注意すべきブラック企業の「3つの手口」|Yahoo!ニュース
それ以上洗脳されないで!ブラック企業の研修の特徴とすぐに退職する方法|クエスト リーガルラボ
11日間のブラック研修を経験した新卒社員(23)の体験談 「同期が過呼吸で搬送された」「頭は冷静なのに涙が止まらない」|キャリコネニュース
【洗脳完了です!】ブラック企業の恐ろしい研修の実態&社畜の末路|退職代行スター