映画『酔うと化け物になる父がつらい』監督×原作者トークイベント!「観たまま感じてくれたらいいなと思っています」

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アルコールに溺れる父を持った作者・菊池真理子の実体験に基づくコミックエッセイを原作とした映画『酔うと化け物になる父がつらい』が3月6日(金)より新宿武蔵野館ほかにて公開される。片桐健滋監督と原作者の菊池真理子さんがゲストとして登壇し、トークイベントをアキバシアターにて実施された。

アルコールに溺れる父の実体験を綴った作家・菊池真理子によるコミックエッセイが原作の映画『酔うと化け物になる父がつらい』が、3月6日から全国公開される。2月26日には東京のアキバシアターでトークイベントが行われ、メガホンを執った片桐健滋監督と原作者の菊池真理子が参加した。

まず、映画化の話を聞いた時の率直な気持ちを尋ねられると菊池は「ただひたすらびっくりしました」と吐露。これまでも原作のある作品を手掛けている片桐も、「僕も、難しいというのが最初の印象でした。菊池先生の体験をお預かりすることになるので、緊張感がありました」と明かした。今回の映画化にあたって、事前に菊池から「きれいな家族愛の話にはしないでください」とリクエストあったそう。さらに片桐が菊池に「お父様がご存命だったらどんな言葉を聞きたいですか?」と質問をしたところ「謝ってほしい」という答えだったそうで、「その2点を意識して作品を作りました」と語った。

酔って化け物となる父・トシフミ役を演じた渋川清彦、またそれに振り回される娘サキ役を演じた松本穂香のキャスティングの経緯について話が及ぶと、片桐は「父親役は愛嬌があってどこかユーモラスに見える、笑顔がチャーミングな方にお願いしたいと思い渋川さんにオファーしました。また、松本さんは以前別作品のオーディションでお会いしたことがあり、困った顔があまり深刻にならないところが良いなと感じてお願いしました」と明かした。撮影現場にも足を運んだという菊池は「松本さんは、役柄ではなく彼女自身としてTVで拝見したときとそのままの印象でした。渋川さんは、とにかくすごく気さくに話しかけてくださり、フランクでオープンな方だなと思いました」とそれぞれの印象を語ると、片桐が「渋川さんが実際にお酒を飲んで撮影に臨みたいとおっしゃったので、やりたいのであればどうぞと伝えました」と笑って明かし、「でも緊張して結局撮影中は酔わなかったそうです」と裏話を披露した。

ちょうど1年ほど前に撮影がスタートしたという本作。最初に出来上がった本編を観たときの感想を聞かれた菊池は「原作とはキャラクターの名前も違うし、冷静に観られるかなと思っていたんですがそんなことは全く無理で、まるで走馬灯を観ているようでした。斜に構えて観るつもりが大号泣してしまいました」告白。そしてそんな中片桐と話をしたかったそうだが、「監督に逃げられてしまいました」と明かし、片桐は「菊池先生が泣いていると知って、ダメだったのか良かったのかわからず逃げちゃいました」と当時を振り返り、会場は笑いに包まれた。それに対し菊池が「監督とはその後何度かお会いするようになって、1年かけてようやく慣れてくれましたね」と話し、すっかり打ち解けた様子で息の合った掛け合いを見せた。

原作にはなかった映画オリジナルの描写として、「カレンダー」が重要なアイテムになっていることについて聞かれると、片桐は「限られた時間の中で先生が生きてきた30年を凝縮しなければならず、観客の方に時間の経過をわかりやすく伝えるために「カレンダー」を使いました。娘が、父親が飲む度に「×」を付けていくのだけどいつしかそれもしなくなったときに、父親がそれを見て自分がやってしまった取り返しのつかないことに気付いていくというような流れが描ければと思いました」と、その意図を説明した。

本作のタイトルにもある、化け物化する父親が「つらい」という言葉に対して、“怖い”や“嫌い”ではなく“つらい”という言葉のセレクトに、観た方たちからの反響が多いことが伝えられると、菊池は「父のことを“良い”とも“悪い”とも言えない気持ちを表す言葉だったと今では気付いたのですが、実は「父親のことを“嫌い”と言わないでくれてありがとうございます、と依存症の患者さんからも言われたことがあります」と話し、原作のタイトルへ込めた思いを語った。さらに、「映画の中では娘からだけの一方的な視点ではなく、父親からの視点も取り入れてくださったことで、父親を断罪するような作品にならなかったと思っていて、ありがたいと思っています」と監督への感謝を伝えた。

最後に、本作をこれから観られる方に本作をどういう風に受け取ってほしいかと尋ねられると菊池は「観たまま感じてくれたらいいなと思っています」と話し、片桐は「アルコールや恋愛など色んな問題もありますが、本作は家族のディスコミュニケーションの話として意識して描きました。鑑賞後に、家族に連絡したいなと思ってくれたり家族について考えるきっかけになってくれたら嬉しいです」と語り、イベントを締めくくった。