「日本おわったかも」 全国小中高一斉休校で機能マヒする仕事現場 看護師や介護士だけじゃない…結局、女性がいないと回らない日本経済

写真はイメージです

2月27日、市中感染が止まらない新型コロナウイルスの脅威を前に、安倍首相が「全国の小中高に対して3月2日から2週間の休校」を要請しました。

すでに専門家からは「今がパンデミックになるかどうかの分岐点」と警鐘を鳴らされており、IOC(国際オリンピック協会)の委員からは「東京オリンピック開催の是非は5月下旬がデッドライン」と外圧を受けていました。

それをここにきて、ダイヤモンド・プリンセス号から始まった「政府の不手際」に対する国内外の非難をまとめて一蹴するべく、トップダウンで一気に大号令をかけた形です。

先だって北海道の鈴木直道知事が、道内の小中学校を1週間休校にすると宣言した際、「これは英断だ!」と世論が好意を持って受け止めたことも、今回の安倍首相の決断につながった要因になっているでしょう。

ただ、その北海道では早くも致命的な問題が起きています。

「看護師がいない」

子どもの休校を受けて、「働くお母さん」が出勤できないケースが続出しているのです。その最たる職業が「看護師」で、2割もの看護師が職場に出られない状況に陥ってしまいました。

ただでさえ、新型コロナウイルスの対応に追われて医療現場から看護師が消えるわけですから、現場はたまったものじゃないでしょう。実際に外来休診をとりやめる病院も出てきています。

シングルマザーはもとより、共働きの夫婦でも母親が仕事を休む割合が圧倒的に高く、在宅勤務やテレワークができない職業ともなれば、真っ先に、「働くお母さん」に支えられていた業種にしわ寄せが来ます。

「介護士」もそうです。介護士は、看護師と並んで「働くお母さん」に支えられている職業ですが、もともと人手不足である老人介護施設等から、介護士もいきなり減ることになるわけです。今回の新型コロナウイルスを一番警戒しなければならないのは、免疫力の弱い高齢者たちですが、もはや放置するしかないのでしょうか。

看護師や介護士などの「医療福祉」関係が、女性雇用数が多い業種1位(厚生労働省発表)ですが、次に多いのが「卸売、小売業」で、「製造業」、「飲食、サービス業」とつづきます。

いずれも在宅勤務もテレワークもできない職種ばかりです。

スーパーや工場、ファミレスやコンビニ、いわゆる「アルバイト」や「パート」によって支えられている仕事場は、機能マヒする可能性も十分にあります。

また、小中学生よりも幼い子どもを抱える女性が出勤できない可能性も出てきました。

子どもを預けていた保育園の「保育士」もまた、「働くお母さん」が多く就いている職業です。こうなっては、打つ手なしです。

さらに、機能マヒする仕事現場は女性が多い職場だけにとどまりません。

「大黒柱なので休めない」と偉そうに働いていた男たちが大多数を占める大企業も、その現場を支えるアルバイトやパート、アウトソーシングしている下請け(例えばテレフォンアポインターなど)が機能しなくなれば、立ちゆかなくなります。

ネットやSNS上では、そんな「働くお母さん」たちを中心に、かつて流行った言葉で溢れかえっています。

「日本おわった」

たしかに危機的状況ではあります。しかし、今まで「働くお母さん」ばかりに苦労を背負わせてきたことを思い知って、これを機会にいっぺん社会の仕組みを見直すのもいいかもしれません。その先に、もしかしたら新しい道が開けるかもしれません。(文◎編集部)

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