分数の基本をおさらい!分数の引き算ができるようになる教え方

分母、分子、真分数、仮分数、帯分数、約分、通分……。分数の勉強には、計算の説明に必要な用語が複数あります。分数が苦手な子供はこの「分数用語」を混同してしまい、理解が追いついていない場合が多くあります。そこで、分数の計算を学ぶ前に分数用語の基本をおさらいしましょう。そして、具体的な計算を用いながら分数の引き算についてご説明します。

分数の成り立ち/分母・分子

分数の基本は「割り算」です。割り算で割り切れずに余りが出てしまう数字を分数として表示します。

分数は分母と分子から成り立ちます。分母とは割り算の割る方をいい、分数の下部に書きます。対して、分子とは割り算の割られる方をいい、分数の上部に書きます。つまり、分数を言葉で書くと、次のようになります。

では、分数の例題を見てみましょう。

【例題】分数の成り立ち

2を3で割り、答えを分数で書きましょう。

【解説】

割られる数が2で、割る数が3です。よって、

分数の種類/真分数・仮分数・帯分数

真分数・仮分数・帯分数は分数の種類の名前です。

分数計算の答えは、真分数か帯分数で書きます。仮分数は分数の計算の際に便利ですが、仮分数で答えを書くと正答として認められないことに注意しましょう。

それぞれの分数の違いを見ていきましょう。

真分数(しんぶんすう)

分母よりも分子の方が小さい分数をいいます。

例えば、

などが挙げられます。

仮分数(かぶんすう)

分母と分子の数が等しい分数や、分母よりも分子の方が大きい分数をいいます。

例えば、

などが挙げられます。

帯分数(たいぶんすう)

整数と真分数の和からなる分数をいいます。

例えば、

などが挙げられます。

分数の計算の準備/約分

続いて、分数の計算を行う前に、計算しやすくするために整理する方法をおさらいしておきましょう。ここで新しく出てくる分数用語は「約分」と「通分」です。

準備1;1つの分数を整理しよう

1つの分数を、見た目に分かりやすいように整理する方法には次の3つのパターンがあります。一つずつ例題を解きながらおさらいをしていきましょう。

仮分数を帯分数に直す方法

仮分数を帯分数に直す方法は、次のように行います。

1. 仮分数を帯分数に直しましょう。
2. 分子と分母を分けて計算します。分子÷分母=商・・・あまり
3. 2で出た答えを帯分数にあてはめます。

それでは手順に従って例題を解いてみます。

【例題】仮分数を帯分数に直す方法

を帯分数になおしましょう。

【解説】

1. 仮分数の分子は125、分母は4です。
2. 125÷4=31・・・1
3. 答えを当てはめます。

帯分数を仮分数に直す方法

帯分数は

で成り立っていることを学びました。この成り立ちをふまえて、帯分数を仮分数に直す方法は、次のように行います。

1. 分子と分母を計算します。

それでは手順に従って例題を解いてみます。

【例題】帯分数を仮分数に直す方法

を仮分数に直しましょう。

【解説】

帯分数の商は5、あまりは6、分母は7です。

約分の方法

約分を学ぶ前に「約数」についておさらいしておきましょう。約数の種類は3つあります。

  • 約数:1つの整数を割れる1以外の整数
  • 公約数:2つ以上の整数のどちらも割り切れる1以外の整数
  • 最大公約数:2つ以上の整数のどちらも割り切れる1以外の整数のうち最も大きな数

具体的に例題を解いてみましょう。

【例題】約数の求め方

8の約数を答えなさい。

【解説】

8は次の掛け算から成り立っています。

1×8=8

2×4=8

約数は1つの整数を割れる1以外の整数なので、8の約数は2、4、8になります。

答え.2、4、8

【例題】公約数の求め方

8と36の公約数を答えなさい。

【解説】

1. 8は次の掛け算から成り立っています。
1×8=8
2×4=8
8の約数は2、4、8になります。
2. 36は次の掛け算から成り立っています。
1×36=36
2×18=36
3×12=36
4×9=36
6×6=36
36の約数は2、3、4、6、9、12、18、36になります。
3. 公約数は2つの整数のどちらも割り切れる1以外の整数なので、8と36の公約数は2、4になります。

答え.2、4

【例題】最大公約数の求め方

8と36の公約数を答えなさい。

【解説】

最大公約数は2つの整数のどちらも割り切れる1以外の整数のうち最も大きな数なので、8と36の最大公約数は4になります。

答え.4

約数の種類が分かったところで、話を約分に戻しましょう。

約分とは、分数の分母と分子を最大公約数で割り、最も簡単な分数にすることです。約分の方法は次の通りです。

具体的に例題を解いてみましょう。

【例題】約分の方法

を約分しなさい。

【解説】

8と36の最大公約数は4です。そのため、

準備2;2つ以上の分数の分母を揃えよう/通分

通分を学ぶ前に「倍数」についておさらいしておきましょう。倍数の種類は3つあります。

  • 倍数:1つの整数に1倍、2倍、3倍……と掛けた整数
  • 公倍数:2つ以上の整数の倍数のうち、どちらにも共通する整数
  • 最小公倍数:2つ以上の整数の公倍数のうち、最も小さな整数

具体的に例題を解いてみましょう。

【例題】倍数の求め方

7の倍数を30以下の整数で答えなさい。

【解説】

倍数は、1つの整数に1倍、2倍、3倍……と掛けた整数なので、

7×1=7

7×2=14

7×3=21

7×4=28

7×5=35

ここで、問題文に「30以下の整数」と書いてあるので、答えは7、14、21、28になります。

答え.7、14、21、28

【例題】公倍数の求め方

7と2の公倍数を30以下の整数で答えなさい。

【解説】

公倍数は2つ以上の整数の倍数のうち、どちらにも共通する整数です。

①7の倍数で30以下の整数は、7、14、21、28です。

②2の倍数で30以下の整数は、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30です。

③7と2の倍数のうち、どちらにも共通する整数で、かつ30以下の整数は14、28です。

答え.14、28

【例題】最小公倍数の求め方

7と2の最小公倍数を30以下の整数で答えなさい。

【解説】

最小公倍数は2つ以上の整数の公倍数のうち、最も小さな整数です。

7と2の公倍数で、かつ30以下の整数は14、28ですので、最も小さい整数は14です。

答え.14

倍数の種類が分かったところで、通分の説明をしましょう。

通分とは、2つ以上の分数に1を掛けて、分母を最小公倍数で揃えることをいいます。分数に1を掛けても元の分数の値が変化することはありませんので、通分は分母を揃えて計算をしやすくするための計算方法といえます。通分の方法は次の通りです。

の通分をする場合、

具体的に例題を解いてみましょう。

【例題】通分の方法

を通分しなさい。

【解説】

7と2の最小公倍数は14でした。そこで、分母が14になるように、それぞれの分数に1を掛けます。

分数の引き算の計算方法

分数の基本のおさらいができたでしょうか。それでは分数の引き算の計算方法についてご説明します。ここでは基本の分数の引き算として真分数を使います。手順は次の3つです。

1. 通分する。
2. 分子同士を引く。
3. 約分する。

具体的に例題を解いてみましょう。

分母が同じ分数の引き算

【例題】分母が同じ分数の引き算

次の計算の答えを求めなさい。

【解説】

1. 2つの分数は分母が同じなので通分する必要はありません。
2. 分子同士を引きます。

1. 最大公約数はないので約分する必要はありません。

分母が違う分数の引き算

【例題】分母が違う分数の引き算

次の計算の答えを求めなさい。

【解説】

1. 分母の5と7の最小公倍数を求めましょう。

    • 5の倍数5、10、15、20、25、30、35、40、45……
    • 7の倍数7、14、21、28、35、42……
    • つまり、5と7の最小公倍数は35だと分かりました。そこで、分母が35に揃うように2つの分数を通分しましょう。

1. 分子同士を引きます。

1. 最大公約数はないので約分する必要はありません。

帯分数の引き算

帯分数や仮分数を使う分数の引き算には、計算をより分かりやすくするための手順が加わります。問題によって使い分けるとより迅速に正答を導くことができますので、どちらの計算方法もマスターしておきましょう。

仮分数に直さないで計算する方法

帯分数は、整数と真分数の和からなる分数ですので、仮分数に直さずに解く場合は次の手順で行いましょう。

1. 真分数を通分する。
2. 整数同士を引き、真分数の分子同士を引く。
3. 真分数を約分する。

具体的に例題を解いてみましょう。

【例題】仮分数に直さないで計算する方法

次の計算の答えを求めなさい。

【解説】

1. 真分数の通分をします。分母の27と9の最小公倍数を求めましょう。

    • 27の倍数27、54、81……
    • 9の倍数9、18、27、36、45……
    • つまり、27と9の最小公倍数は27だと分かりました。そこで、分母が27に揃うように2つの真分数を通分しましょう。

1. 整数同士を引き、真分数の分子同士を引きます。

    • 整数同士の引き算;6-4=2
    • 分数同士の引き算
    • つまり、
    • 真分数を約分します。分子6と分母27の最大公約数を求めましょう。
    • 6の約数2、3、6
    • 27の約数3、9、27

つまり、6と27の最大公約数は3だと分かりました。そこで、真分数の分子と分母を3で割ります。

仮分数に直して計算する方法

帯分数を仮分数に直して解く場合は最初と最後に分数を直す作業を行います。次の手順で行いましょう。

1. 帯分数を仮分数に直す。
2. 通分する。
3. 分子同士を引く。
4. 約分する。
5. 仮分数を帯分数に直す。

具体的に例題を解いてみましょう。

【例題】仮分数に直して計算する方法

次の計算の答えを求めなさい。

【解説】

1. 帯分数を仮分数に直しましょう。

1. 仮分数の通分をします。分母の27と9の最小公倍数は27ですので、分母が27に揃うように2つの仮分数を通分しましょう。

1. 分子同士を引きます。

1. 真分数を約分します。分子60と分母27の最大公約数を求めましょう。

    • 60の約数2、3、4、5、6、10、12、15、20、30、60
    • 27の約数3、9、27
    • つまり、60と27の最大公約数は3だと分かりました。そこで、仮分数の分子と分母を3で割ります。

1. 仮分数を帯分数に直します。

20÷9=2・・・2

よって、

まとめ/弱点は部分的なつまずきではなく全体を捉える

算数は、単元ごとの積み重ねの学習です。そのため、お子さんが算数の問題を解けない、もしくは同じ箇所で何度も間違える場合は、以前に学んだ基礎部分を理解できていない可能性があります。

文部科学省の算数・数学に関する主な意見にも次のようなものがあります。

子どもたちがどこにつまずくのかを考えて,どのような力をつけるのか,また全体の系統性をどうするのか考える必要がある。

(引用元:教育課程部会(第3期第1~11回)における算数・数学に関する主な意見(抜粋)(算数・数学について)|文部科学省)

応用・発展問題は難しいから解けなくても仕方ないと諦めずに、理解できたと思い込んでいる基礎問題の見直しをすることが大切です。難しい問題をたくさん解くよりも、基本をおさらいする簡単な問題を繰り返し練習して、基礎力を盤石にしましょう。

参考

小学生の算数 分数 練習問題プリント 無料ダウンロード・印刷|ちびむすドリル【小学生】

分数の引き算のやり方|Sci-pursuit.com

分数の計算まとめ。分母が違う分数の足し算・引き算・掛け算・割り算のやり方|アタリマエ!

【分数の引き算】やり方と問題|小学生・中学生の勉強

教育課程部会(第3期第1~11回)における算数・数学に関する主な意見(抜粋)(算数・数学について)|文部科学省

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