
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が進める利水面の事業再評価に対し、第三者の諮問機関が水不足などを認め、「事業継続が妥当」と答申したことを受け、反対派市民団体が1日、市内で集会を開催。「架空の予測値を設定し、水不足の捏造(ねつぞう)でダムの必要性を創出した」と批判し、審議のやり直しを求める宣言を採択した。宣言文は同局に提出する。
集会を開いたのは「石木川まもり隊」(松本美智恵代表)など3団体。市民ら約130人が参加した。
市水道局が示した再評価の水需要予測は、1日の市民1人当たりの水使用量は全国の同規模都市の水準に近づいて増加すると想定。不足する水量約4万立方メートルを石木ダムで賄えば、費用対効果も高いとした。諮問機関の市上下水道事業経営検討委員会は2月28日、同局の方針を「妥当」と認めた。
宣言は、将来の人口減少を踏まえ、水需要の増加は「異常な予測」と批判。石木ダムがなくても何の被害も受けておらず費用対効果は低いとし、「公正・中立な委員会」での再審査を求めた。
集会では水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表が再評価の問題点を説明。水需要は節水型機器の普及などで減少すると指摘し、費用対効果は「渇水時の被害を大きく計算している。現実的でない」とした。
ダム建設予定地の住民、岩下和雄さん(72)は「石木ダムを造るための予測だ。事業は見直すべきだ」と訴えた。