実績十分な松坂にも可能性 松本好投で大きく前進も混迷する西武の開幕ローテ争い

西武・松本航【写真:宮脇広久】

2年目松本は5回無失点で開幕ローテ入りへ大きく前進

 西武の開幕先発ローテーション争いが佳境だ。チームは一昨年、昨年とパ・リーグ2連覇を果たしたが、はっきり言って、チーム打率と総得点がともに2年連続リーグトップだった強力打線のお陰。投手陣はチーム防御率が2年連続リーグワーストに終わった雪辱を求められている。

 そんな中、1日のDeNAとのオープン戦(長崎)に、2年目の松本航投手が先発。最初の2イニングはストレート、ブレーキの効いたカーブ、フォークが冴え、6つのアウトのうち5つを三振で奪った。その後の3イニングは一転、フライを打たせて仕留めた。結局、5回3安打5奪三振無四死球で無失点の快投。前回登板(2月22日のロッテとの練習試合)も3回無安打無失点に封じており、開幕先発ローテ入りに大きく前進したといえる。西口投手コーチは「次が大事だが、今日は何も言うことはない」と目を細めた。

 ドラフト1位で日体大から入団した昨季、開幕には出遅れたが、16試合に登板し(先発16)、7勝4敗、防御率4.54。本人も「昨年は切羽詰まって自分のことで精一杯でしたが、今年はマウンドで余裕があるというか、打者の反応を見れるようになったり、自分の投球フォームを客観的に見ながら投げられるようになってきたと思います」と手応えを口にする。

多和田は未だ契約保留、新助っ人左腕ノリンは故障、ドラ1宮川も離脱…

 現段階では、西武の投手陣は今年も前途多難と言わざるをえない。昨年の開幕投手である多和田真三郎投手は、自律神経失調症を患い、契約保留選手の立場のままで復帰のメドが立っていない。

 昨季12勝1敗の抜群の成績を挙げ、来日2年目を迎えたザック・ニール投手は、すでに今月20日の開幕投手を務めることが決定。昨季10勝で23歳の高橋光成投手、同7勝で21歳の今井達也投手の先発ローテ入りも有力だ。

 しかし、先発候補として期待された新外国人左腕ショーン・ノリン投手は故障で離脱中。ドラフト1位ルーキーの宮川哲投手もキャンプ中盤に右太ももの張りを訴え失速した。昨年16試合に先発しプロ初勝利を含め6勝を挙げた本田圭佑投手は、練習試合で打ち込まれ、争いは混迷の度を深めている。

 こうなると、昨年右肩を痛めて1軍登板がわずか2試合に終わり、今年も実戦登板はいまだ練習試合の1イニングに過ぎない松坂大輔投手も、過去の圧倒的な実績からみて、調整次第で十分割って入る余地がありそうだ。開幕までに投手陣全体でどこまで底上げできるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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