ベッテル、F1引退の噂を再度一蹴。フェラーリ代表も2021年以降の契約延長を強く希望

 セバスチャン・ベッテルが、プレシーズンテストでのFIA記者会見の場をF1からの引退発表に使うのではないかという憶測が一部で持ち上がっていたが、それは見当はずれだったことが明らかになった。ベッテルは、今もF1で走ることへの情熱を失っていないと、再度強調した。

 ベッテルは2019年のドライバーズランキングではチームメイトであるシャルル・ルクレールに敗れ、5位に終わった。またフェラーリにはコンストラクターズ選手権において、ライバルのメルセデスに挑戦できるだけの力がなかった。

 しかし4度のF1世界チャンピオンであるベッテルは、今もF1への熱意を持っており、再び優勝、そしてタイトルを狙って戦うという決意に揺らぎはないと語った。

「僕は自分のしていることを愛しているし、走ることが大好きだ」とベッテルはバルセロナ・サーキットでの第2回プレシーズンテストの際にメディアに語った。

「先週、マシンに乗り込む時にはとても興奮した。あっという間にリズムを取り戻し、素晴らしい気分だった。マシンに乗って走ることから得られる満足感は、全く変わらない」

「でも僕がここにいるのは、素晴らしい気分を味わうためではなく、勝つためだ」

「チャンピオンシップでタイトルを勝ち取るためにフェラーリに加入したけれど、まだそれを達成していない。この数年、良いレースもあったし、他より優れていることもあった。でも最終的には僕らの望んだような結果にはならなかった」

「そうして数年が経ったわけだけど、ハングリー精神、確かな意志、決意を失ってはいない。自分たちが何を達成したいのかは分かっているし、どこへ進みたいのか、今どこにいるのかも分かっている」

2020年第2回F1プレシーズンテスト1日目:セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

 フェラーリとの現行の契約を更新するかどうかは、マシンのパフォーマンスによって判断するのかと聞かれ、ベッテルはやや曖昧な回答をした。

「それは僕が何を信じているか、そしてまた、チームが何を信じているかという部分によるものだ。今の時点ではそれほど重要なことではない。でも重要になるタイミングは来る。そのときに、僕たちは契約の状況を整理していくことになるだろう」

 契約の状況がどれだけの重荷になっているかを尋ねられたベッテルは、「当然のことながら、今は他のことでとても忙しい。だから今はゼロだと言っておく。3年前の時ほど負担になってはいないよ」と答えている。

「時間が経てば分かることだ。今すぐに何かが変わることはない」

■「セブとの契約延長が第一の選択肢」とフェラーリ代表

 一方、チーム代表のマッティア・ビノットは、同じ記者会見において、自分が望むのは、2021年以降に向けてベッテルとの契約を更新することだと、繰り返した。

 頻繁に緊張状態になるベッテルとルクレールの関係について尋ねられたビノットは、「セブ(ベッテル)は我々の第一の選択肢だ。これがF1における最高のラインアップだ」と主張した。

「彼らがフェラーリのために走ってくれることを大変うれしく、そして誇りに思っている。我々は間もなく契約交渉に入り、何が最善であるかについて話し合うだろう」

2020年第2回F1プレシーズンテスト1日目:セバスチャン・ベッテルとマッティア・ビノット代表(フェラーリ)

「セブとは初期段階の話し合いを始めたが、契約の期限が迫っていることはよく認識している。しかし話し合いは非常に早い段階で結論に達するだろうし、互いの一番の利益がどういったものなのかが明らかになるだろう」

「我々の関係は良好であり、自然な形で話し合うことになるだろう。わざわざ予定表に面談の日程を書き込むようなものにはならない。ディナーでもとりながら話し合いをするだろう」

「セブのことはもう何年も知っている。チーム代表としてだけではなく、技術者だったときからだ」

「昨年は互いへの理解を深めていった。そういう意味で私にとって重要な一年だった。今は、我々がともに取り組んでいるプロジェクトを重要視している」

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