武蔵小杉タワマン 地下貯水槽あふれ浸水、停電 住民側が報告書

地下からあふれ出た水を処理する住民たち=昨年10月、川崎市中原区(管理組合提供)

 昨年10月の台風19号の大雨により武蔵小杉駅(川崎市中原区)近くにある47階建てタワーマンションの地下3階の電気設備が浸水し、停電や断水が続いた問題で、同マンションの管理組合が2日、当時の被害や浸水の原因などをまとめた報告書を公開した。原因について、地下4階に当たる貯水槽に雨水がたまり、同3階の床面からあふれ出たと明らかにした。住民側が被害の情報を公にするのは初めて。

 報告書をまとめたのは、タワーマンション「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」の管理組合内部に設置された「対応タスクフォース」。被害の詳細や復旧に尽力した住民らの活動、浸水原因、今後の対策など13ページにわたる文書を、マンションのホームページ上に掲載した。

 停電の発生原因については、地下4階に相当する貯水槽に、雨水が流れ込む升を通じて排水量を上回る水がたまり、地下3階の床面からあふれ出て電気設備が浸水したためと結論付けた。1階や地下駐車場は、出入り口付近に住民が土のうを積むなどの対策を講じたため、浸水被害はなかったという。

 今後の再発防止策も打ち出し、止水板や地下への浸水を防ぐ設備の設置といった短期的な対策のほか、電気設備の配置変更や室内の水密化など中長期的な対策も示した。実際に対策を施したものについては、ホームページ上で引き続き情報提供していく。

 報告書などによると、台風襲来翌日の10月13日、同マンションの管理組合内に災害対策本部を設置。エレベーターが停止しているため、階段が使えない住民の救護や各階への水、簡易トイレの配布などの支援を行ってきた。管理会社と協力した結果、約1週間で電力、約2週間で給排水設備の復旧にこぎ着けた。

 その後、管理会社や災害対策本部でカバーできない作業を進めるため、対応タスクフォースを新設。原因を明らかにするための情報収集や再発防止策の立案、住民への情報提供などを実施してきた。

 管理組合はこれまで、「早期復旧を最優先に、次いで原因究明と再発防止策の策定に注力する」などとして、取材対応を見送ってきた。しかし原因究明と再発防止の方向性が見え、住民への説明も一定程度済んだことや、インターネット上でマンションを中傷するようなデマが拡散され、事実を伝えたいという思いもあり、調査結果の公開に踏み切ったという。

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