新型コロナウイルスと選挙 こんな時でもフツーに選挙?【選挙ドットコムちゃんねるダイジェスト】

コロナウイルス感染防止対策で、多くのスポーツの試合やアーティストのライブなどが中止に。

試合やライブはネット・テレビ配信で観戦・鑑賞することもできますが、選挙は有権者の投票がなければ成り立ちません。今回の選挙ドットコムちゃんねるは、コロナウイルス感染が広がる中、どのような影響が選挙に及んでいるのかを詳しく見ていきます。

また、気になる最新の選挙結果や今後行われる注目の選挙についてもピックアップ。

番組内容をダイジェスト版でお伝えします。

選挙予定者による公開討論会は ライブ配信に

乙武 「さあ、始まりました選挙ドットコムちゃんねる。今回のテーマは『新型コロナウイルス 選挙への影響は?』ということですが」

千葉 「最近、本当に大変ですね、新型コロナウイルス」

乙武 「ニュースもこれ一色と言って過言ではないくらい」

千葉 「新型コロナウイルスの影響で、選挙の現場にも様々な対応が求められているようです。本日、行われた長野県松本市長選挙に関する公開討論会では、本来は最大で360人を収容できる会場で、市長選挙に立候補を表明している6名が討論会を開催する予定でしたが、感染拡大防止という観点から、一般の方を入場させず、6人の立候補予定者だけで実施されました。

そしてその討論会の模様は、インターネット上で見られる形にする対応がなされました。また、別の市民団体が22日に実施予定だった立候補予定者に話を聞く会は、中止、ということになりました。このような対応が出てきているんですが……」

乙武 「もう選挙関連にとどまらず、スポーツの試合とかアーティストのライブとか、人が集まる系のイベントはライブ配信に切り替えていくような流れになってきているようですね」

松田 「そうですね。この1、2週間が感染が拡大するか、最小限に食い止められるかどうかの瀬戸際ということなので、人が集まるイベントに関しては種類を問わず、慎重な開催判断というのが大切なのかなあと思います」

千葉 「また新型コロナウイルスは、選挙対策にも大きな影響が出ているようです。選挙ドットコムでは、2月23日に行われた選挙において、各地の選挙管理委員会でどんな対応がされたのか、実施した選挙にどのような影響が出たのかを電話で取材をしました。こちらを見ていただきましょう」

千葉 「たとえばですが、四街道市の選管は『今回の選挙では、投票率が前回より6.81%減の39.02%に減ってしまいました。やはりコロナウイルスの影響も大いにあるのでしょうね』とコメントされています。

選管側は、投票所の立会人やスタッフ、開票作業の職員全員のマスク着用を義務付けたり、投票所の入り口にアルコール消毒液を設置するなどの工夫をされていたということですが」

松田 「6.81ポイント減っていうのは、けっこう大きな現象ですね。市議会議員というのは、市長選挙と違って立候補者数も非常に多いですから、普通はそんなに大きく投票率が下がることはありません。まぁ少しずつ投票率が下がっていくというのはあるんですけど。

乙武 「前回は、45%超だったのに……」

松田 「この数字はコロナウイルスの件が、かなり影響したと思いますよ。たしかに『不要不急の外出は控えてください』とあちこちで言われているけど、選挙は不要不急な用事なのかどうか……、すごく判断が難しいところですね」

乙武 「確かに難しい……。大事なことなんだけどもねえ」

松田 「選管のみなさんも工夫されていて、できる範囲の対策はきっちり取られたということですしね。アルコール消毒がウイルス対策になるっていうことで、こまめに投票所の消毒なんかもなさっていたみたいですし。

ただまぁ有権者の方からすると外出を控えようって、とくに高齢者の方なんかは周囲からも言われるだろうし『今回はやめとこうか』みたいなムードになっちゃうのかなあ」

乙武 「投票用の鉛筆をこまめに消毒ってありますけど、たしかに投票しようとすると、どこの誰ともわからない前の人が触った鉛筆を使うわけだから、それを頭の中でイメージしちゃったりすると、『怖いなあ。やめとこう』ってなるかも」

松田 「アルコール消毒しているとはいえね、たしかにあんまり触りたくない。でも本当は、筆記用具は自分が持ち込んだものでも書くことができるんですけどね。

『置いてある鉛筆触りたくないから、ペン持参で行こう』と思うほど、知られてないですよね。筆記具の持ち込みOKについては」

千葉 「なかなか知らなそうですよね、その情報」

松田 「マイ鉛筆、シャーペン、サインペン、なんでもいいんですよ。投票所に鉛筆を置いているのは単にコストの観点からってことなんで。鉛筆はすごくコスパがいいってことで、置いてあるだけですから。

選挙に関わる仕事をしている側からすると、マイ筆記具を持って行ってもいいからね、できるだけ投票してほしいなと思いますね」

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乙武 「今後、選挙そのものが延期になったりみたいな事態も出てくるんでしょうか」

松田 「うーん、どうなんでしょうね。今のところ選挙延期に関する法律の定めだと、災害などで投票所自体が投票できない状況になった、機能しないとか、そういう場合を想定してありますね。

ただ、他国のような大幅な外出禁止令とか、まぁ日本ではあまり考えられないですが、仮にそういうものが出るとなった場合は『任期の特例等』で選挙や投開票を延期するなどといった対応をしないといけなくなるかもしれませんね。

今の公選法では、感染症などによる選挙や投開票日の延期については、想定されていないんですよ」

乙武 「今後の政府の対応次第というところかもしれませんね」

松田 「あとはどのくらい感染が広がるのかという状況ですね」

 

国会議員が 地元の行事を優先しがちな理由とは?

千葉 「そのような状況下で、新型コロナウイルスよりも地元行事に力を入れる政治家もいらっしゃって、物議をかもしています。

全閣僚で構成される新型コロナウイルス感染症対策本部会合を3人の閣僚が欠席したことが、問題視されています。萩生田さん、森さん、小泉さんですね。小泉進次郎さんは、国会答弁やインタビューでも反省しているということをお答えになっていましたが」

乙武 「この発言が、またTwitterとかでネタにされてますね。『反省しているんです。ただこれは私の問題だと思うが、反省していると言いながら反省をしている色が見えないというご指摘は、私自身の問題だと反省をしている』みたいな…。

大臣に就任した時にも、進次郎ポエムみたいのが話題になって、大喜利状態でいろんなネタが出て来たけど、ちょっと越えられないよね、本家は」

松田 「やっぱ本家は面白い」

乙武 「こんなの考えようと思っても、思いつかないもん。スピーチライターの千葉ちゃん、この発言はどう見るの?」

千葉 「んー。印象に残らせようと、あえてやっているんですかね?」

乙武 「ポジティブな評価だねー。ただ、僕はなんていうのかな、こっち(地元の行事)を優先した政治家を責めるっていうよりもね、緊急の公務があるってわかっていながら、いざ欠席すると『地元の会合に来てくれなかったんだ』『地元をないがしろにしてる』なんて、言ったり思ったりする有権者を責めたいな」

松田 「おっしゃる通り!」

乙武 「会議を欠席した閣僚もね、前から約束の地元のイベントに行かないと『自分のところの地元の有権者が、地元をないがしろにしてると思うんじゃないか』っていう恐れがあるから、つい先約の地元イベントを優先しちゃうわけでしょ?」

松田 「そもそもこの会合(新型コロナウイルス感染症対策本部会合)自体、どれほどの中身があるかというとか、どうしても出席しなくちゃいけないものだという認識が希薄だったっていう点もあるんじゃないかと思います。あの時点だと、まだこれほど感染が広がるっていう段階ではなかったんでしょうし。

だから決まっている予定だし、地元のイベントに招待してくれた人たちの顔を思い浮かべれば、その地元の政治家として当然、その人たちやイベントの参加者に好かれたいという思いもあっただろうし。乙武さんがおっしゃるように、欠席すると文句をいう人がいないとも言えないですしね。

招待側も閣僚側も、当時は危機感が今ほどなかったんだということじゃないですか。ここまで大ごとになって振り返れば、当然、閣僚は出席すべきだったと思うだろうし、招待した側も『こっちを欠席するのは仕方がないことで、会議に出るべきだった』と受け止めるでしょう。

こういう事態が起こったとき、大事な会合を欠席した閣僚を責めるのは簡単ですが、乙武さんのような『有権者側の地元優先への期待に、つい政治家が引っ張られてしまうのでは』という視点は、すごく大事だと思うんです。

たとえば政治家が、地元の年末年始の忘年会を、ひたすらハシゴしなくちゃいけないとか。まぁ選挙は立候補するのも投票するのも人間がしてることなんで、地元の会合に足しげく顔を出してくれる人に投票するっていうのはよくわかるんですよ。

僕も政治家への講演や立候補者へのレクチャーなんかで、有権者への接触機会を増やすのは大事ですよって言いますし。その一方で『公務があるなら公務を優先して!』と言えるような、後援者・有権者でありたいと自分自身も思いますし、こういうムードが当たり前になって欲しいとは思いますね」

乙武 「そうですよね」

 

熊本県知事選は現職・元職のガチンコ対決

千葉 「さて今度は、注目の選挙、最新の選挙結果についてです。まずは、滋賀県草津市長選、長野県松川村長選、そして岐阜県の北方町長選がいずれも無投票当選となりました」

乙武 「1人しか立候補者がいなくて、投票しなくてもその人で決まったっていうことですね。やっぱり多いんだな、そういう地域」

松田 「本当に多いですね、無投票。この選挙ドットコムちゃんねるを見ている方は『本当に毎週、日本のどっかで選挙やっているんだなあ』って感じていただけていると思うんですけど、こういう無投票当選が、とくに地方の過疎に悩む地域などでは増えてきているんですよね」

千葉 「続いては、これからはじまる熊本県知事選挙についてです。こちら3月22日が投開票となります。立候補を予想される顔ぶれがこちら。4期目を目指す現職の蒲島さんに、前熊本市長の幸山さんが挑むという構図ですね」

松田 「これは前回の県知事選とまったく同じ形の対決になるんですけども。挑戦者の幸山さんは、熊本県の県庁所在地であり、政令都市でもある熊本市の市長を務められたこともあって、市内では当然、知名度も非常にある方ですが、前回の2016年県知事選ではダブルスコア以上で、蒲島さんが圧勝されました。

ただ今回は、蒲島さんが4期目でご年齢も72歳ということで、高齢、多選批判が出てきてもおかしくない。その現職に、54歳の元市長の幸山さんが再び挑むということで、かなり激しい選挙になるのではないかと予想されます。

今のところはやはり現職が優勢ではないかと言われているみたいですが、前回落選した選挙にもう一度チャレンジする幸山さんを、意気に感じる有権者もいると思いますので、今後も目が離せない注目選挙だと思います」

千葉 「このチャレンジャーの幸山さんなんですが、今朝、選挙管理委員会に県知事選の延期を申し立てたというニュースが入っています。やはりコロナウイルスの関係というのが、その理由のようですが」

松田 「たしかに3月22日に投開票ということであれば、低投票率になるのが目に見えていますよね」

乙武 「投開票日までの選挙活動にもいろんな影響をきたしますもんね。有権者との握手もちょっとできないし」

松田 「いやー、握手、できないよなあ」

千葉 「そうですねえ、たしかに」

松田 「3月22日投開票なんですけど、熊本県知事の任期満了が4月29日。任期満了日より前であれば、日程を後ろにずらすのも比較的容易ではありますけど」

乙武 「じゃあ、1、2週間ぐらいあとになる可能性もあるのかな?」

松田 「たしかにできなくはないけど。でもわざわざ、延ばすかな。現時点では熊本は、感染がそれほど深刻になっているわけではないですしね」

乙武 「今後、どうなるかですよね」

松田 「本当にこの1、2週間が大事と言われますからねえ。選挙とか、とくに議員や首長の任期に関しては非常に後ろにずらしにくいものがあるんですけど、たしかに握手したくないしねえ」

千葉 「怖いですよね」

松田 「候補者としてもできないですよね、握手。やっぱり感染リスクをどれだけ下げるかということも発信と同時に、今後首長となる人は自分の行動で示していかなくちゃいけないし。非常に難しい」

乙武 「たしかに。ところで、選挙の投開票を後ろにずらすかずらさないか、みたいな選挙実施の決定権は誰が持っているんですか?」

松田 「ひとつは選挙管理委員会ですね。選挙管理委員会の中でどういう判断をするか議論して」

乙武 「選挙管理委員会って僕ら一般の有権者からすると顔が見えない存在なんですけど、やっぱりトップっていうのはいるんですか?」

松田 「います。選挙管理委員長というのが置かれます。選挙管理委員長自体は、どういう手続きを経るんだったか僕もちょっと具体的な手続きを忘れちゃったんですけど、毎回、選任されるんですよ。

よくあるのが引退された元議員さんとか。そういう民間の方にお願いする形で選管委員や選管委員長を決めるんです。

市役所内には選挙管理委員会の職員もいますが、意思決定に関しては民間から選出された選挙委員会の委員とトップである委員長が合議制で決めると」

乙武 「なるほどね。今回は、けっこう意見が分かれるかもしれないですね」

松田 「そうですね、実際『この1~2週間が大事』と国からも発表している中で、これから告示される選挙というのはそのあたりも考えていかないといけないでしょうし。選挙委員会にも、候補者が延期を申し立てる以外に、有権者などからそういう声が寄せられる可能性もあるでしょうね。

それらを総合的に見て、判断していかなきゃいけないといというところでしょう」

乙武 「なるほどね。さあ今回は、ここまでとなります。チャンネル登録、高評価、よろしくお願いします!」

松田 「手洗い、うがいもしっかりとね!」

 

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