中世の石仏3件 大村市有形文化財に追加

下八龍の線刻仏(大村市教委提供、画像は一部加工しています)

 大村市教委は3日、約800年前に制作された郡地区一帯の石仏3件を、「郡地方の中世石仏群」として市指定有形文化財に追加したと発表した。指定は2月26日付。市の有形文化財は計10件となった。
 指定されたのは「東光寺町の滑石製石仏」「草場町の緑色片岩製石仏」「下八龍の線刻仏」の3件。いずれも平安時代末から鎌倉時代のものと考えられるという。
 市教委文化振興課によると、「東光寺-」は軟らかい石を彫り出した石仏。仏像の知識を持った人物が制作に関わった可能性があるという。「草場町-」は高さ43センチ、幅23センチで、市内で確認されている中世の単体の石仏としては最も大型。「下八龍-」は縦130センチ、横220センチの岩に如来像が刻まれており、修験者のような専門知識を持つ人が徳を積むために作ったと考えられるという。
 同課によると、中世の石仏は市内に約30体が残っており、市北部の郡地区一帯に集中している。同課は「この時期の仏教に関する資料は、戦国時代のキリシタンによる弾圧でほとんど残っていないため、どれも貴重」としている。

東光寺町の滑石製石仏(大村市教委提供)
草場町の緑色片岩製石仏(大村市教委提供)

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