臨時休校 行き場失う給食食材 頭抱える業者

 新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校の影響で、県内すべての市町が学校給食の食材や牛乳の注文をキャンセルしたため、納入業者が対応に頭を悩ませている。

 五島市吉久木町の野菜卸売業「いきいきファーム」は地元農家から野菜を仕入れ、市内の給食センターに納めている。農家には3月分のホウレンソウやネギなど数百キロを発注済みだが、農家から仕入れを心配する声も寄せられた。予定通り買い取って新たな販売先を模索しているが、責任者の八代侑紀さん(40)は「給食センターは安定した取引先。3月分は何とかなったとしても、休校が4月以降も続くようだと不安になる」と表情を曇らせた。
 牛乳は県内3業者で全市町に供給。長崎、佐世保など7市3町に納入するミラクル乳業(佐世保市)は、給食用の1日約7万本の製造を止めた。諫早、大村など5市5町に納入する島原地方酪農業協同組合(島原市)も給食用約4万本の製造を中止。いずれも原料の生乳は市販用などに回せないか検討中。同組合の担当者は「インフルエンザなどで休校になった場合も補償はない。長引くと苦しくなる」と声を落とした。下五島地区に1日約3千本を納入する五島乳業協同組合(五島市)は、各校に配達するパート社員を休ませざるを得ないという。
 3月分の給食費は、多くの市町が日割り計算で徴収。平戸市は休校前に提供する3日分も無料にする。調理員の休業補償について、諫早市は「国からの連絡がなく分からない」と困惑。当面は各給食センターの機器や食器などの洗浄、点検などに取り組むとしている。

© 株式会社長崎新聞社