会合や出張の自粛広がる 経済活動縮小を懸念 テレワーク導入・拡大も

 長崎新聞社と長崎経済研究所が県内企業に実施した新型コロナウイルス感染拡大に関する緊急調査では、現在実施中の対策や、影響が長期化した場合の対策案を質問(選択式、複数回答)した。政府や地方自治体などの対応についても意見を求めた。

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   ■対 策
 対策は「マスク着用・手洗いを徹底している」が89社と圧倒的に多かった。次いで「人混みに行かないよう注意喚起している」が47社、「歓送迎会や懇親会、セミナーなどの会合への参加を控えている」が44社と目立った。このほか「海外・国内出張は当面自粛している」22社、「プライベートの旅行などの自粛を呼び掛けている」17社-と続いた。
 その他の意見として「時差出勤」「自社イベントの自粛」「社内旅行の中止」などが挙がった。一方で「特に対策は採っていない」が14社あった。
 長期化した場合の対策案で、最も多かったのは「社内行事や会食を控える」の71社で、次点は「国内出張を禁止する」の39社。ほかには「海外出張を禁止する」19社、「BCP(事業継続計画)検証・訓練・見直し」18社、「テレワークを導入・拡大する」17社-の順だった。
 その他では「収益低下に伴う経費削減」「マルチベンダー(さまざまな企業の製品を選び組み合わせてシステムを構築する)の推進」などが寄せられた。「特に考えていない」は24社だった。
   ■意 見
 政府や自治体、経済界、医療界の対応について意見を求めたところ、ウイルス検査態勢の強化をはじめ、▽感染防止用品の増産・安定供給▽治療薬の早期開発▽資金繰り悪化時の低金利融資▽正確で迅速な情報公開、風評被害の防止-といった要望がいずれも多数寄せられた。社員が感染した場合の対応手順を示すよう求める声も複数あった。
 小売業の1社は「自粛ムードが広まり、経済活動が縮小しないような広報」を注文。あるサービス業は感染予防指針の必要性を訴えた。「指針が曖昧だと自己都合での判断になりリスクを回避できなかったり、制限意識が過剰になって各種活動が停滞したりする恐れがある」と懸念した。
 学校の一斉休校を受け、別のサービス業は「多くのパートを抱え、ローテーションも決まっている。簡単に有給休暇制度の活用はできない」と苦しい事情を明かした。
 長崎経済研究所の泉猛主任研究員は「幅広い業種で人の移動の減退や売り上げの減少がみられる。業績悪化の懸念が出始め、県内経済に大きな影を落としている」と現状を分析。調査結果もこれを裏付けているとして「こうした状況が長期的な経済の停滞につながらないよう官民一体となり緊張感を持って感染拡大防止に取り組む必要がある」と指摘した。

 


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