歌舞伎町、オワタ……! 眠らない街が“眠る街”へ? 濃厚接触が危惧されるバーや風俗店は苦境に ついに大不況がやって来るのか――?

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コロナパニックの余波で、スポーツやエンターテインメントのイベントはことごとく自粛。なにかと動きが鈍い相撲協会も春場所の無観客開催を決定するなど、選抜大会開催に意欲を? みせる高野連と毎日新聞を除いては、ほぼ一億総自粛状態と言ってもいい。

大規模なイベントを中止、あるいは無観客にすることは莫大な損害が出ることは言うまでない。その苦衷は想像に難くないが、これら大きな組織の動き以上に厳しい状況に陥っているのが、小売業。特に飲食業界などだ。なかでも、客との距離感が近いバーやスナック、風俗店などにとっては死活問題となりつつある。新宿歌舞伎町でバーを経営する男性はこう話す。

「10年以上、この商売をやっているけどここまで悪いのは初めて。売り上げは3割ほど少なく、従業員の給料を払うのが精一杯。俺の分は蓄えを切り崩すしかいないね」

男性経営者の言が大げさではないのは、実際歌舞伎町の街を歩けばわかる。特に深夜帯だ。「眠らない街」で知られるように、終電を過ぎても人込みは絶えないのが特徴の街だが、コロナ騒動以降、その客足がぱったりと途絶えたという。別のバー女性オーナーがいう。

「歌舞伎町の場合、深夜1時、2時を過ぎて再びプチピークを迎える場合が多くて、その前提でシフトも組んでいる。でも、そのプチピークがぱたりとなくなった。フリーのお客さんはもちろん、常連さんの足も遠くなってる。たまに酔っぱらった外国人観光客がドアを開けるくらいで……」

つまり眠らない街から眠りにつく街へと、変わり始めている、というのだ。それだけに、

「ここ数日は、2時くらいで店を閉めてしまうところも多い。だから、余計街が暗く感じるんだよね」(女性オーナー)

文字通り生活に直結する「危機」ではあるが、その一方で従業員の健康面への配慮も考えずにはいられない。

「ほんとは、客商売としてはペケなんだけど、女の子にはマスクをしてカウンターに入ってもいいと言ってある。いま実際にマスクをしている子はいないけど、エアーマスクなどを使っている子はいるよ。うちはバーだから、必要以上に距離感が近くなることはないけど、それでもカウンター越しに対応するワケだからさ」(男性経営者)

女性オーナーも出来る対策はすべてとるというスタンスだ。

「換気をこまめにするとかできることはやっている。ちょっと寒いけどね(笑)。ただ、それでお客さんやスタッフも少しは安心するし」

これらの話をしてくれたのは、歌舞伎町に無数にあるバーの当事者たちだ。彼らすらこれだけ厳しいなら、より接触が多くなるスナックやキャバクラ、文字通り濃厚接触の風俗店の苦衷は言うまでもない。

後手後手の対応が非難されるコロナパニックは、東洋一の歓楽街の様相まで一変させたようだ。(文◎堂本清太)

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