カージナルスの救援左腕・ミラー 原因不明の不調に苦しむ

アンドリュー・ミラー(カージナルス)は日本時間3月3日に予定されていたオープン戦での登板を回避した。投球するときにボールの感覚を上手くつかむことができなかったというのだ。そして、日本時間3月4日、ミラーは通常とは異なる感覚の原因を追究するために様々なテストに取り組んだ。しかし、明確な原因は明らかにならず、ミラーが「イップス」に陥っている可能性もありそうだ。

現在34歳のミラーは、今季がカージナルス移籍2年目のシーズンとなる。昨季はレギュラーシーズンで73試合に登板し、防御率4.45と不本意な成績に終わったものの、ポストシーズンでは登板した6試合すべてで無失点に抑えるなど本領を発揮。今季は、昨季後半戦にクローザーを務めたカルロス・マルティネスが先発に復帰することもあって、右腕のジオバニー・ガジェゴスとともにクローザーの有力候補の1人に挙げられていた。

ところが、身体的には何も問題がないにもかかわらず、普段通りにボールを投げることができない状況が続いている。日本時間3月3日のオープン戦で登板予定だったものの、暴投したことによりウォーミングアップを中止し、結局登板予定を回避することになった。ミラーは予定通りに登板できなかったことを繰り返し謝罪したが、故障しているわけでも体調が悪いわけでもなく、不調の原因は不明のままである。

ミラーは撮影した映像や収集したデータをもとに、以前の自分の投球フォームと比較したり、メディカルスタッフの診察を受けたりして原因の解明に取り組んでいるものの、明確な原因は明らかになっていない。昨季、同僚のブレット・シーセルは手にしびれが生じる「手根管症候群」に悩まされたが、そのような症状も出ていないという。そのような状況において「イップス」が疑われるのは当然の流れと言えるだろう。

「イップス」とは、精神的な原因などにより突然思い通りのプレイができなくなってしまう症状のことを指し、明確な治療法はないとされている。メジャーリーグの世界でも、元ヤンキースのチャック・ノブロックや元カージナルスのリック・アンキールなど、「イップス」に苦しんだ選手は少なくない。剛腕リリーバーとして一世を風靡したミラーだが、「イップス」らしき症状を克服し、以前の輝きを取り戻すことはできるだろうか。

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