ジェラルド・バトラーの隠れた名作特集!「ワルvsワル」の構図が燃える『ザ・アウトロー』ほか

『ザ・アウトロー』© Motion Picture Artwork © 2017 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ジェラルド・バトラーといえば、アメリカ大統領を命がけで警護するシークレットサービスを演じた『エンド・オブ』シリーズ(2013年~)や、未曾有の天災を戦う無骨な科学者を演じた『ジオストーム』(2017年)、そして怪奇な実話を基にしたサスペンス『バニシング』(2018年)などなど、近年ますます演技の幅を広げている名優だ。

View this post on Instagram

Warning: don’t talk to me until I’ve had my coffee. 😂 #FestinaAlwaysFits #WearAWatch @festina.watches

A post shared by Gerard Butler(@gerardbutler) on

ジェラバト……と略すとふわふわした寝間着みたいで緊張感に欠けるが、そんな我らがジェラバト兄貴の真骨頂とも言えるシリアスなアクションが堪能できる隠れた名作と、ついでに“あの有名な”出世作も軽く紹介したい。

一体どっちが悪人なのか!? 激シブ名作アクション

『ザ・アウトロー』(2018年)

冒頭の「1年に2400回、週に44回、1日に9回、48分ごとに銀行が襲われる街」というテロップから、さっそく期待が高まる本作。一体どんな物騒な架空都市で起こるドラマなのか? とワクワクしていると、続いて表示されるのは「銀行強盗で世界的に有名なこの町の名は、ロサンゼルス」……という、まさかすぎるリアル物騒トリビアが! 思わず白目を剥きながら脳内「へ~」ボタンを連打していると、装甲の厚い現金輸送車を強奪しようとする武装集団が登場。どうやらこの連中が本作の悪役になるらしい。

『ザ・アウトロー』 発売元:プレシディオ 販売元:ポニーキャニオン 価格:Blu-ray¥4,700(本体)+税、DVD¥3,800(本体)+税 © Motion Picture Artwork © 2017 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

この強盗団がなかなか豪華で、ドラテクを買われ運び屋となるウィルソン役にオシェア・ジャクソン・Jr(ご存知アイス・キューブの息子)、元海兵隊特殊部隊で首謀者のメリーメン役にパブロ・シュレイバー(ドラマ『アメリカン・ゴッズ』[2017年~]ほか)、その右腕ルヴォー役にカーティス・“50セント”・ジャクソン(撃たれても死なないラッパー)というイカツいラインナップ。しかも、会話の中に「EMP(電磁パルス)」なんて戦争映画みたいな物騒なワードまで飛び出すわりに、彼らのファミリー描写がアットホームギャグになっていたりして、怖いやら面白いやらで思わず乾いた笑いが漏れる。

View this post on Instagram

Last week on the #DenOfThieves set. Going to miss these dudes.

A post shared by Gerard Butler(@gerardbutler) on

この強盗団をお縄にかけようと動き出すのが、ジェラバト率いるロサンゼルス郡保安局(LASD)の特捜班で、こちらも一応保安官のくせに超コワモテ揃い。ただし、中盤まではジェラバトが単身で強盗団を挑発したり、ウィルソンを拉致ってイジメたり、生活リズムが荒れすぎていて奥さんに離婚届を突きつけられたり、クマさんのモノマネで愛娘を笑わせたりというバラエティ豊かなシーンを挿入してくるため、なかなかド派手なアクションは始まらない。しかし中盤過ぎ、ついに銀行を襲撃した強盗団を追うシークエンスになって、物語は急展開を迎える。

View this post on Instagram

Hey Regulators! Choose a side by commenting with #Regulators to show @50cent and his #Outlaws who they’re messing with. #DenOfThieves

A post shared by Gerard Butler(@gerardbutler) on

強奪決行シーンは『オーシャンズ11』(2011年)などを思わせる緻密な作戦を丁寧に描き、文字通り息を呑む超ハラハラ展開が楽しめる。武闘派同士の戦いではあるが力任せの“どすこい”一辺倒ではなく頭脳戦も繰り広げられ、その水面下での駆け引きが一気に決壊するという趣だ。そうしてクライマックスの大銃撃戦に雪崩込んでいくのだが、中盤の超スリリングな牽制劇を含め、どうやらパチーノ&デ・ニーロ主演のマイケル・マン監督作『ヒート』(1995年)を大いに意識している模様。ものごっついマシンガン(M249系)を乱射するシーンは観ていて硬直してしまうほどの迫力だし、撃たれたときのリアクションや四肢が不自由になった状態での銃の扱い方など、ミリオタの皆さんが思わずサムズアップするようなリアルな演出が盛りだくさんだ。

View this post on Instagram

Lock the doors, we’re coming home. #DenOfThieves is now on Digital and on Blu-Ray & DVD 4/24.

A post shared by Gerard Butler(@gerardbutler) on

しかも本作、強盗団のバックボーンをチラ見せしているため思わず彼らを応援したくなってしまい、極端な経済格差や退役軍人の闇などを描くことで、なかなか味わい深い余韻を残してくれる。そして最後の最後までビックリ展開が待っていて、思わず「タハーッ! やられた……」と額を叩きたくなること請け合いなので、大いに期待しつつ鑑賞していただきたい。

超体育会系のスパルタ王を熱演した

『300<スリーハンドレッド>』(2007年)

もう紹介の必要もないとは思うが、ジェラバト兄貴の方向性を決定づけた名作が、紀元前400年代に起こったペルシア戦争の勇姿を描く『300<スリーハンドレッド>』。本作の題材は、ペルシア軍とギリシア軍の戦い=テルモピュライの戦いだ。

『300 <スリーハンドレッド>』 ブルーレイコンプリート・エクスペリエンス¥2,381+税 DVD¥1,429 +税 ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント © 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

レオニダス王が率いるスパルタ国は、我が子を崖から突き落とす系のバイオレンス文化を誇る戦士の国。そのインパクトは相当なもので、レオニダスを演じたジェラバトに「まあ、あのスパルタの人だし、それくらいやるよな」という暴れん坊なイメージを刷り込んでしまった偉大な作品でもある。

『300 <スリーハンドレッド>』© 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

「ディス イズ スパルタァァア!」という映画史に残る名セリフを生んだ本作は、気合を入れたいときや上司にムカついたとき等の気分転換にも効果バツグンなので、ぜひ“観るエナジードリンク”として定期摂取しよう。

『ザ・アウトロー』、『300<スリーハンドレッド>』、『エンド・オブ』シリーズ、『ジオストーム』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:怒涛のジェラルド・バトラー!」で2020年3月放送

© ディスカバリー・ジャパン株式会社