「中国人はゴミだ!」 横浜中華街の老舗に中傷の手紙

赤い文字で「中国人はゴミだ!」などとヘイトスピーチが記された手紙=4日、横浜市中区

 横浜中華街(横浜市中区)の老舗料理店「海員閣」など複数の店舗に、中国人を誹謗(ひぼう)中傷する差別的な言葉を記した手紙が届いていたことが4日、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中華街では客足が遠のき、地域を挙げて奮闘する。長く日本社会で暮らす華僑らは「残念で悲しい。ヘイトスピーチを許さない社会になってほしい」と胸を痛めている。

 送付された封書には差出人名がなく、切手には東京・上野の消印が押されていた。A4判のコピー用紙にプリンターで印刷された赤い文字で「中国人はゴミだ!細菌だ!悪魔だ!迷惑だ!早く日本から出ていけ!!」と書かれていた。

 1936年に創業した同店の3代目店主李浩文さん(48)によると、封書は3日に届いた。「(感染拡大で)社会に不安が広がる中、誰かに矛先を向けたくなるかもしれないが、開封した時はとても残念な気持ちになった。悲しく、そしてさみしい」と明かす。自身の中で抱えきれない消沈した思いが募り、現状を多くの人に知ってほしいと、4日に会員制交流サイト(SNS)のツイッターに手紙を掲載。すると、李さんを応援し、ヘイトスピーチを非難するメッセージが多く寄せられ、来店客からも励ましを受けたという。

 「日本で生活しながら、まっとうな仕事をしているという自負がある。これからも正直な営業を続けたい。中華街を応援してほしい」と李さんは話す。

 横浜中華街発展会協同組合によると、同一の内容の手紙は3日、複数の加盟店舗にも届いた。ヘイトスピーチは、特定の国の出身者や、その子孫であることのみを理由に、日本社会から追い出そうとするなどの一方的な言動で、同組合は県警に相談している。

◇おことわり

 記事と写真には、中国人に対する差別的な文言がありますが、神奈川新聞社はそのまま報道します。差別の実態を共有し、あらゆる差別を許さない社会をつくっていく一助とするためです。

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