元料亭「春海」新時代の伝習所へ 三つのテーマ柱に学び

国登録有形文化財となっている元料亭「春海」の外観=長崎市鍛冶屋町

 長崎市鍛冶屋町の元料亭「春海」が、新たな教育コミュニティーの場「GEUDA(ギウーダ)」として生まれ変わる。学びのテーマの3本柱は「食」「コミュニティーデザイン」「歴史・文化継承」。「新時代の伝習所」を目指し参加者を募る。
 ギウーダは「価値ある原石」の意味。起業支援などを手掛ける「Mistletoe(ミスルトウ)」が設立した。起業を目指す人や若者、社会人など幅広い層を対象に、既存概念にとらわれない人材を育て、地域課題の解決に取り組むことを目的とする。開始時期は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現時点では未定。
 三つのテーマのうち「食」は、料理人や生産者など食文化を取りまく課題に取り組む。地元食材の魅力を再認識するため、都内の有名すし店の料理人を招き、長崎の魚を熟成させて最高の味を引き出すワークショップを予定している。
 人と人とのつながりで社会問題を解決する「コミュニティーデザイン」。離島の高齢者の見守りを、利用料が生じるサービスではなく、共助としての仕組みが作れないかを考える。
 「歴史・文化継承」では、取り組み例として、市内にあった料亭、旧富貴楼の所蔵品の分析、研究を上げる。「(歴史や伝統の)価値を知り、生かして、活用する手法」を考察する。
 ワークショップの場は、料亭春海の30畳と床の間がある2階大広間がメイン。ほかに四つの部屋を利用する。1階キッチンは大幅にリフォームし、ワークショップができるスペースにするほか、バーも併設する。
 ギウーダではさらに、空き家をリノベーションして世界から若者を呼び込み、長崎に住みながら学べる場を整備したり、壱岐分校の開設も検討している。
 熊崎隆人最高執行責任者(45)は「志を一緒にして、皆でいろいろな課題を持ち寄り、学びの場を盛り上げていきたい」と話している。

ワークショップのメイン会場となる予定の2階大広間

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