今季から導入の「二刀流ルール」 大谷以外の注目選手は?

メジャーリーグでは今季からロースターに関する制度に変更が加えられ、アクティブ・ロースターが25人から26人に拡大。26人のうち投手は最大13人に制限されるが、新たに登場する「二刀流ルール」(通称・大谷翔平ルール)によって「ツー・ウェイ・プレイヤー(二刀流選手)」に区分された選手は投手としてカウントされない。そのため、大谷(エンゼルス)のような二刀流選手はチームにアドバンテージをもたらすと見られている。大谷以外にはどのような二刀流選手がいるのだろうか。

ある選手が「ツー・ウェイ・プレイヤー」に区分されるためには、投手として20イニング以上に登板し、野手として20試合以上にスタメン出場して3打席以上に立つ必要がある。大谷は昨季1度も登板していないため、この条件を満たしていないが、「二刀流ルール」の導入初年度ということもあり、今季に限って2018年の成績も考慮され、「ツー・ウェイ・プレイヤー」と認定されている。

大谷の同僚であるジャレッド・ウォルシュも「一塁手兼投手」として知られているが、昨季の出場機会は投手として5イニング、打者として87打席であり、「ツー・ウェイ・プレイヤー」の条件を満たしていない。メジャーリーグでは今季から野手の登板に制限が設けられており、ウォルシュが野手登録で開幕を迎えた場合、7点差以上の試合か延長戦でしか登板することができない。ウォルシュがこうしたシチュエーションで登板を重ね、20イニングに到達すれば、野手としての出場状況次第ではあるものの、エンゼルスに2人目の「ツー・ウェイ・プレイヤー」が誕生する可能性がある。

今オフ、トレードでレイズからパドレスへ移籍したジェイク・クロネンワースも「ツー・ウェイ・プレイヤー」の候補の1人だ。昨季はAAA級での406打席で打率.334をマークしただけでなく、7試合に登板して7回1/3を自責点0(失点2)に抑えている。ジェイス・ティングラー監督によると、パドレスはクロネンワースがロースター入りを果たした場合、試合展開次第ではあるが、1週間に1イニング投げさせることを検討しているようだ。

レッズのマイケル・ローレンゼンも忘れてはならない存在だ。チームの主力リリーバーの1人であるローレンゼンだが、昨季は代打で7試合、代走で13試合に出場するなど、登板した73試合を含め、合計105試合に出場した。投手として83回1/3を投げ、外野手として89イニングで守備に就いたが、打席数はわずか53。レッズは指名打者制のないナショナル・リーグに所属しており、ディック・ウィリアムス野球部門社長は「大谷が指名打者で打席数を稼げるのはアンフェアだと思う」と不満をこぼしている。ローレンゼン自身も「外野の3ポジションを守っているのに二刀流選手として認定してもらえないのは理解できないね」と不満げな様子。チームの外野手の層の厚さを考えると、野手として20試合以上にスタメン出場するのは難しく、ローレンゼンは「ツー・ウェイ・プレイヤー」に認定されないまま二刀流を続けることになりそうだ。

野手中心になりそうなウォルシュとクロネンワース、投手中心のローレンゼンとは対照的に、大谷と同様に本格的な二刀流にチャレンジする可能性があるのがレイズの有望株ブレンダン・マッケイだ。昨季メジャーデビューを果たしたマッケイは、投手として13試合(うち11先発)に登板したほか、指名打者で1試合、代打で3試合、代走で1試合に出場。打者としての成長が少し遅れており(昨季マイナーで防御率1.10、OPS.629)、打撃がメジャーレベルに到達すれば、大谷に次ぐ本格的な二刀流選手となりそうだ。

今季開幕時点で「ツー・ウェイ・プレイヤー」と認定されるのは大谷だけだが、数少ない二刀流選手としてウォルシュ、クロネンワース、ローレンゼン、マッケイの活躍にも注目だ。

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