髙島屋東別館がリニューアル ホテルと史料館を核に再生へ

百貨店大手の髙島屋(本社・大阪市中央区)は、リノベーション工事を行っていた大阪・日本橋の「髙島屋東別館」を1月20日にリニューアルオープンした。

▲リノベーション後の建物外観(1枚目:建物北側、2枚目:同南側)
▲リノベーション後のフロア構成図(髙島屋の発表資料より)

高島屋東別館は地上7階・地下2階建てで延床面積は約4万㎡。名古屋を本拠とする百貨店「松坂屋」(現・大丸松坂屋百貨店)の大阪店として1937年に建設され、当時は「東洋一の百貨店建築」とも称された。1966年の同店閉店(松坂屋大阪店はその後天満橋へ移転、2004年5月に閉店)後に髙島屋が物件を取得し、主に同社グループ企業のオフィスとして利用。一般客の入場が可能な施設としては1970年に「髙島屋史料館」を開設したほか、1階部分を中心に飲食店や家具専門店・結婚式場などのテナントも入居させていたが、2016年末にはそれらを全て退去させ、翌2017年より全面的なリノベーション工事に着手していた。

リニューアル後の同施設の核となるのは、新たに入居したサービスレジデンス(滞在型ホテル)「シタディーンなんば大阪」。建物南側の約半分を占め、施設面積は約17,000㎡。313室の客室にレストラン&カフェ、ジム、ミーティングルーム、キッズルーム、レジデンスラウンジなどを設ける。
シタディーンは世界32カ国180を超える都市で宿泊施設を保有し、計13ブランドを展開するアスコット社(シンガポール)の日本法人が運営するホテルで、日本では東京(新宿に2か所)と京都に次ぐ4施設目の展開となり、当施設では「デパートメントホテル」をコンセプトに、昭和初期の百貨店建築の面影を残すアールデコ調の装飾を活かした施設となる。ちなみにシタディーンとは、フランス語で「都市生活者」の意味。

▲客室イメージ(アスコット・ジャパン社の発表資料より)

また、シタディーンの1階には「numero five(ヌメロファイブ)」「祗園北川半兵衞」「勘田亀吉製燻所」「VIVIDEEP maison(ヴィヴィディープメゾン)」「ROCCA & FRIENDS PAPIER OSAKA(ロッカ&フレンズ パピエ オーサカ)」の5店舗が出店する。
「ヌメロ-」は、モーニングからディナーまで楽しめるカジュアルイタリアンレストラン。「祗園北川半兵衞」は、宇治の抹茶問屋・北川半兵衞商店の最高級茶葉を使用した日本茶カフェで、京都・祇園の本店に続く2号店。「勘田亀吉-」は燻製惣菜とスイーツの専門店で、ウラなんばを中心に大阪市内各地で燻製バルを展開する「トリベーネ」が手掛ける新業態。「ビビディープメゾン」では、アーティストの宇野ビビディープ氏によるデザイン性に優れた暮らしの道具とアート作品を取り扱う。「ロッカ-」は、大阪・高槻を拠点にカフェや雑貨店を展開する「ロッカ&フレンズ」の新業態で、当地では紙雑貨の専門店として展開する。

▲シタディーン1階のテナント構成

また、開館当時から設置されていた「髙島屋史料館」は建物の北側に移設され、開館50周年の節目に合わせ「未来に向けて成長し続けるための戦略拠点としての企業史料館」をコンセプトにリニューアル。多彩なテーマ設定のもと企画展を開催する企画展示室に加え、髙島屋の歴史と百貨店文化の魅力を気軽に楽しく体感できる所蔵品の展示や豊富なデジタルコンテンツを閲覧できるアーカイヴス展示室を設置するなど、日本の百貨店文化の魅力や同社の役割を社内外へ広く発信していく。施設面積は約1,500㎡(うち展示室は約500㎡)、髙島屋が創業以来の企業活動の中で蓄積してきた美術品、百貨店資料、創業家文書など約5万点を収蔵する。そのほか、同社グループ企業のオフィス機能や社員食堂などを集約したスペース(約2,100㎡)も設ける。

なお、現時点では堺筋に面した1階部分において、シタディーンが入居する部分以外(建物の北半分、上記のフロア構成図で「計画中」となっている白い部分)は現在テナントが入居していない状態であるが、春にはフードホールがオープンとの情報も。引き続き今後の動向にも注目したい。

【髙島屋東別館(シタディーンなんば大阪/髙島屋史料館)】
大阪市浪速区日本橋3-5-25
https://www.citadines.com/ja/japan/osaka/citadines-namba-osaka.html https://www.takashimaya.co.jp/archives/library/

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