ヒマワリの種結び飛ばした風船 五島から熊本・八代へ160キロ 勇気づけられた女性から崎山小に返事

本田さんから届いた手紙や、本田さん宛てに書いた返事を手にする児童ら=五島市立崎山小

 五島市立崎山小(川崎康校長、53人)の児童が昨年12月、ヒマワリの種を入れた袋を結び付けて同校から飛ばした風船が、約160キロ離れた熊本県八代市の本田マツ子さん(77)宅に届いた。当時、夫が手術を受けたばかりで不安な日々を過ごしていた本田さん。やがて夫は回復し、本田さんは「ヒマワリが良い方向に導いてくれた」と、同校に感謝の手紙を送った。
 毎年12月の人権週間にちなみ、五島人権擁護委員協議会が取り組む活動。「人権の花」とされるヒマワリを学校で育ててもらい、採取した種を風船と共に飛ばしている。崎山小では昨年12月3日、全校児童が種とメッセージを添えた約60個の風船を空に放った。
 本田さんは12月20日、自宅の中庭で、種が入った袋を発見。胆のうの摘出手術を受けた夫が入院していた時期で、本田さんは「遠い五島から海を越えて、まさかうちに届くなんて。夫もきっと元気になる」と、心強く思ったという。
 本田さんは夫が退院した1月下旬、便せんに「きっとヒマワリの種が幸せにしてくれたと思う」などと感謝の言葉をしたため、同協議会を通じて崎山小に返事を送った。今では夫婦でグラウンドゴルフなどを楽しんでいるという。本田さんは取材に「必ず種をまいて、花が咲いたら写真を撮って子どもたちに送ってあげたい」と話した。
 児童は本田さんにお礼の手紙を送った。6年の藤尾朗人君(12)は「五島から熊本まで飛んでいくのがすごい。本田さんの手紙を読んでうれしくなった」と笑顔で語った。

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