JASRACに徴収権限 「社会一般の感覚と乖離」 音楽教室側が控訴

音楽教室での楽器演奏に伴う著作権使用料を徴収する日本音楽著作権協会(写真左)の方針に業界が反発。ヤマハ音楽振興会(写真右)などが「音楽教育を守る会」を設立した

 ヤマハ音楽振興会など音楽教室事業者らでつくる「音楽教育を守る会」(東京都目黒区)は5日、レッスン演奏で使う楽曲の著作権使用料を支払い対象とし、徴収権限が日本音楽著作権協会(JASRAC)にあると認めた東京地裁判決を不服として、知財高裁に控訴したことを明らかにした。控訴は4日付。

 守る会の大池真人会長は東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「生徒がミスタッチしながら上達を目指し繰り返す演奏と、講師がお手本のために示す演奏が1小節であっても、事業者による演奏とみなされ、著作権使用料が発生することは社会一般の感覚から大きく乖離(かいり)している」と、2月28日の判決を批判した。

 裁判では、教室内で講師や生徒が行う演奏が、著作権法が定める「公衆に直接聞かせることを目的とした演奏」に当たるかが争点とされた。

 教室側は、生徒は公衆ではなく、演奏は「聞かせる目的」に該当しないと主張したが、判決は、生徒は不特定多数の公衆に当たるとし、「聞かせる目的」があると認定。教室側は「徴収は音楽を学ぶ機会の減少につながり、音楽文化の発展に影響を及ぼす」とも訴えたが、判決はJASRACが年間受講料収入の2.5%などと定めた徴収額について「著作権者の保護との均衡を失うほど過大ではない」として退けた。

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