ミスターミニット、コード決済導入第1号が「メルペイ」だったワケ

靴修理などのサービスを手掛ける「ミスターミニット」が、メルカリの決済サービス「メルペイ」を3月4日から一部店舗で導入しました。コード決済サービスを導入するのは今回が初となります。

ミスターミニットは「スニーカー修理サービス」を2019年10月から正式メニューとして開始。メルペイの導入で、メルカリの抱える若年層ユーザーへのサービスの認知拡大を狙います。


メルカリに購入・出品する前に修理

国内で320店舗のミスターミニットを展開するミニット・アジア・パシフィック。靴やカバンの修理を手掛けるほか、時計の電池交換や印鑑作製、スマホ修理サービスなど、幅広いサービスを提供しています。

同社の菅原聡・経営戦略室長はメルペイ導入の経緯について、「モノを長く大事に使う文化が双方同じ。ミスターミニットはリペアして長く使い、メルカリはシェア・交換して長く使う。メルペイのテクノロジーを活用して、できるだけ長くモノを使う世の中に貢献できれば」と語ります。

菅原室長によると、メルカリの利用者がミスターミニットを訪れ、スマホの商品画面を店頭で見せて「これ直せますか」と聞く例が増えています。こうしたユーザーは、購入前に商品が修理可能かどうか判断してから、メルカリで実際に購入するかどうかを決めているといいます。

一方、出品前に訪れる利用者も多いそうで、時計の電池交換が特に伸びています。「電池が動いていないとフリマアプリに出品できない」「壊れていないか確認したい」といった理由で持ち込むケースが増加。時計販売の個人店が減少しているなどの理由もあり、2019年の時計の電池交換の売り上げは、3年前と比較して3.4倍に成長しました。

メルカリでは商品の説明欄に「お直し済み」「クリーニング済み」などのキーワードを入れて出品する件数が増加しており、メルカリユーザーのリペアサービスに対する需要の高さがうかがえることから、今回のメルペイ導入に至ったようです。

女性のヒール離れが影響

メルペイの導入で期待を寄せるのが、将来的な顧客になりうる20代のメルカリユーザーに対する認知拡大です。ミスターミニットは30〜40代の女性利用者がメインの客層で、靴修理が全体の売り上げの6割を占めています。新たにメニューに追加した「スニーカー修理サービス」は、メルカリユーザーと相性が良いと見込んでいます。

同社がスニーカー修理に力を入れる背景に、ヒールを履く女性の減少による売り上げの伸び悩みがあります。男性もビジネスウェアのカジュアル化で、スニーカーで通勤する人が増えてきました。「靴を履く人の数は減らないので、そこにしっかり対応していきたい」(菅原室長)

画像提供:ミスターミニット

高級なスニーカーをビジネス利用する人もいますが、現状は革靴と違ってスニーカーは「履き捨てるもの」という認識が一般的。2次流通のスニーカーを「直して履くのがステータス」という文化を作ることから目指すといいます。

スニーカー修理料金は、かかとの修理が両足で1,650円〜、破れ補修が1ヵ所1100円〜(いずれも税込み)で、革靴の修理料金と比べると半額程度に抑えられているそうです。「中古スニーカーを洗ってから履きたい」というニーズに応えるため、汚れ落としのサービスも提供しています。

「ヒールが折れて困っている人を手仕事で助けることから始まった。手仕事で身の回りのものを全部修理できるようにしたい」と、サービスの幅を広げているミスターミニット。メルペイ導入をテコに、新たなユーザー層の獲得につなげることができるでしょうか。

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