【新型コロナ】中韓入国制限「我慢するしかない」 長崎県内観光、経済関係者ら

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府が打ち出した中国と韓国からの入国制限強化が、県内にも波紋を広げている。ただでさえ冷え込んでいる観光、経済関係者からは「我慢するしかない」とあきらめの声すら上がる。両国に拠点を置く県内自治体や企業も対応を迫られ、突然「祖国」との行き来を制限された留学生は不安を募らせた。影響はどこまで広がるのか。

 長崎市新地町の中華街。国内外で感染が広がる前は中国語が飛び交っていたが、最近はずっと静かだ。ある土産品店は「暇だから」と営業時間を3時間短縮。中国の工場が閉鎖し、仕入れられない商品もある。「売り上げはこれまでにないぐらい減った。今の状態が続くと不安だ」と言う。近くのタピオカ店員は片言の日本語で「今はじっと我慢するしかない」とあきらめ顔だった。
 クルーズ船の県内への入港がストップした影響は大きく、中国人観光客は激減。県観光連盟などによると、クルーズ船の入港キャンセルは延べ69隻(4日時点)、空路を使う中国人の宿泊キャンセルも3555人(2月末時点)に上る。近年の日韓関係悪化で韓国人客も減ったところに追い打ちとなり、同連盟は中韓両国でのセールスを見合わせている。
 県は上海事務所に駐在させていた職員1人を2月下旬に帰国させ、2週間の自宅待機と、テレワーク勤務としている。ソウル事務所の職員を帰国させるかは検討中。長崎市や対馬市が釜山市内に置く事務所には常駐の市職員はいない。
 中国に工場がある長崎市の製造業の会社と諫早市の卸売業の会社は、一時帰国させていた駐在員を現地に戻せずにいる。九州とつなぐ定期空路が相次ぎ運休した上、中国入国時も14日間、自宅などでの経過観察を求められるからだ。中国出張を取りやめた県内企業も複数ある。
 大村市の製造業の会社は、4月に中国から実習生3人を受け入れる手続きが中国入管で滞っている。同社は「人手不足で実習生が頼りだが、いつ来てもらえるか分からず悩ましい」という。

 


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