部活動は教育の一環?

 「生徒たちは残念だろうが、中止は仕方がない。逆にスポーツは世の中が平和で平穏じゃないとやれないと学べた」。今月下旬に開幕する予定だったある競技の全国高校選抜大会。その出場権を獲得していた県内の指導者の言葉である▲新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国高体連が共催する選抜大会の21競技すべてが中止となった。全競技団体が「選手の安全を最優先に判断を」という依頼文を受け、3日までに決断した▲県、九州大会を勝ち抜いてつかんだ春の挑戦権。選手たちにとっては「一生に一度」で、本音は「やりたかった」だ。だが、学校自体が休校の今、教育の一環である部活動を続け、大会に出ると判断するのは難しいのかもしれない▲一方で日本高野連は逆の決定をした。19日開幕予定の選抜高校野球大会の無観客開催へ向けて準備を始めた▲最終結論は11日に先送りされたが、休校という現状を考えれば、違和感を拭えない人も多いだろう。実際、ネット上などは賛否両論があふれている▲ただ、ここで一つ強調したい。これはあくまで主催者の判断で、現場は決定に従うのみである。選手たちへの非難だけは決してあってはならない。高校生をバッシングの対象にする社会。それもまた、スポーツができる平穏な世の中とは言い難い。(城)

 


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