人間関係がうまくいく愛情ホルモン“オキシトシン”って何?

新型コロナウィルスの影響で、電車やバスなどでの濃厚接触に関して過度なストレスを感じている人も多いことでしょう。今こそ、体と心のバランスをとるために気分転換をする必要を感じます。

その対処として覚えておきたいのが、緊張をとり、信頼感や安心感を増すと言われている救世主的なホルモン。その名は「オキシトシン」(別名:愛情ホルモン)。今回は、このオキシトシンについてお話しします。


オキシトシンはアイコンタクトや肌のふれあいで上昇

まず最初に2015年に米サイエンス誌に麻布大学の研究チームが発表した犬と飼い主を対象とした研究をご紹介しましょう。

実験では、犬と飼い主が互いに語りかけや触れ合い、見つめあいなどを30分間行い、その後、犬と飼い主のオキシトシン濃度を測定した結果、「双方の尿からのオキシトシン濃度が上昇した」ことが判明しました。

この結果から「見つめ合う・語る・触れ合う」事で"心地よい"と感じることとオキシトシンの関係がクローズアップされたのです。

また、別の実験では、犬にオキシトシンを投与すると犬と飼い主とのアイコンタクトが増したということが判明しました。犬がアイコンタクトを多くとることは、信頼関係や安心感が強い時とされ、オキシトシンというホルモンが愛情や信頼・安心に紐づかれたホルモンであることがわかりました。

それまでも様々な研究により、母親が赤ちゃんの目を見つめることで、オキシトシンが促進され、愛情、親近感などの感情が湧き上がることは知られていました。

しかし、前述の犬との実験からも分かるように、オキシトシンは肌の触れ合いによっても高くなり、脳に心地良い刺激として伝わることで出やすくなります。リラクゼーションをもたらすマッサージの研究でも、背中への15分間の施術によって血液中のオキシトシン量が増加することが示されました。

オキシトシンは神経伝達物質として、鎮痛・不安の軽減・共感・他者への信頼感等にも関与していることが近年の実験でもわかってきています。オキシトシンが多く分泌されるためには、心のふれあいやリラックスする肌の接触が1番大切ということになります。

国民全体が過度な予防によるストレスをためている今だからこそ、アイコンタクトをとれる人との楽しい食事など、心の距離を縮める行動をすると、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌も増す事を頭の隅に置いておいてください。

オキシトシンの好循環サイクル

深い呼吸を意識することも効果的

「アイコンタクトや肌の触れ合いの機会などない」という人には、深い呼吸によるリラックス効果をお勧めします。深い呼吸とは3秒で息を口から吐き、3秒で息を鼻から吸うリズムを意味します。

ストレスが溜まっていると交感神経という緊張時に優位になる神経が働きます。深い呼吸は今、体もゆっくり休まっている時だという認識を与えるため、脳が副交感神経というリラックス時に高くなる神経を優位にさせます。

副交感神経が高くなると、体の緊張がほぐれ、その結果、心の緊張も緩和されます。ですから、肌の触れ合いやアイコンタクトでオキシトシンが高まり、安心感がもたらされる効果に近い感覚になります。

心地良さを作り出すための脳のメカニズムを知る

以前の記事で記述したのですが、脳はぼーっとしている時でも75%のエネルギーを使い、様々な刺激に対して勝手に準備するアイドリング機能があります。

気になっていることがあると、あれやこれや雑念が浮かび、対処困難事案に対して嫌な気分が紐づいて、更にアイドリング機能が過剰に活動するという悪循環で脳疲労が高くなってしまいます。

それを防止するためには、ストレス要因に翻弄されず、今ここに集中する事が大切です。

今ここに集中するために

集中するためには、今行っている事が「楽しい、達成感を感じるなど感情がプラスに動く事」が必要であり、「これをすると自分は解放される」など行動の意味を理解していることが大切となります。

オキシトシンを出す為の事前準備
そのためにも「自分を開放できるリスト」を作成する事をオススメします。自分は何をすると開放されていたか、リストを参考に過去を思い浮かべてみましょう。

実際に作成してみると、自分を開放する事が出来るリストは、"自分が元気でないとできない事である"と気づくはずです。このリストは疲れすぎていないとき、エネルギーが残っている時にリスト化してください。

リスト化した後、リスト化した事を行うと、「どんな良い事があるか」、「楽になるか」、「気分が明るくなるか」など期待をこめた結果予測コメントも付け足すと更に実行力が高まります。

自分を開放する事ができるリスト(例)

オキシトシンを出し、心も体も人間関係も豊かにするためにこのような事前準備をすると更に効果的です。脳、神経、ホルモンの事情通になると、機能的に自分の心と体にアクセスでき、セルフケアが行き届きますので、是非トライしてください。

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