新型コロナと献血不足

 何とも悩ましい。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、政府は不要不急の外出を控えるように国民に呼び掛けている。だが、それにより献血協力者が急減してしまったのだ▲日赤によると、全国で毎日1万3千人の協力が必要だが、献血血液は2月下旬には目標の8割台に減少。県内でも今月1~5日の献血は438人分と、目標の76%にとどまった▲ところが、長崎市の「献血ルームはまのまち」には6日、普段の平日の3倍に当たる約90人が訪れた。献血不足の報道に加え、白血病と闘っている競泳女子の池江璃花子選手がツイッターで協力を呼び掛けたことで関心が高まったとみられる▲池江選手が昨年2月に発病を公表した際は、日本骨髄バンクのドナー登録が急増した。献血も、著名人の闘病が伝えられたりすると増える傾向があるという。感染症への不安が社会を覆う中での善意の行動を歓迎したい▲ただし、血液製剤には有効期間があり、長期保存できない点は知っておきたい。献血に一時的に人が殺到するような状況は感染症対策の上でも避けたいところだろう▲日赤はできるだけ、前日の午後5時までに献血の予約を入れるよう呼び掛けている。献血は日々安定的に確保することが重要であり、年間を通して継続的な協力の輪を広げていきたい。(久)


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