「10年から15年はショートが安泰」―専門家を唸らせたDeNAドラ1森敬斗の魅力とは

DeNA・森敬斗【写真:編集部】

野口氏は森がU-18W杯で見せたセンターでの守備にも驚愕「すごい肩してるな」

「もうベイスターズは10年から15年はショートが安泰かな」

 現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、17年から2年間ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏を唸らせたのは、今季DeNAから1位指名を受けプロの世界へ飛び込んだ森敬斗内野手だ。

 沖縄県宜野湾市で行われたキャンプ中に森が放った安打を間近で見た野口氏は、「カウント3-1から、ちょっとインコース低めの甘いところだったと思います。強引にいきたくなるところを堪えたかどうかはわからないですけど、センターにピッチャーの足元めがけて『パーンッ』と打ち返したのは、これはちょっとセンスを感じるなと思いました」としっかりと考え抜かれたバッティングに脱帽した様子。続けて“走力”についても絶賛した。

「その後ランナーセカンドからヒット1本でホームまでいきました。走塁技術というのを勉強するともっともっと良くなります。ちょうどグラウンド整備した後だったので、森が走ってきた足跡が(ダイヤモンドに)残っていたのですが、かなり膨らみをもって走っていました。あれがもうちょっとラインに近づいて走ってくるようになると、もっともっと良くなると思います。プロの走塁技術というのを教わって吸収していけば、走塁に関してすごく良い選手になるのではないかなと」

DeNAのドラ1指名にも納得「『あれだったらそうだよね』と」

 森は昨年行われた「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」では本職のショートではなく、慣れない守備位置の急造センターとして不動の1番を守り続けたが、これについても野口氏は「即席センターだったのにすごい肩してるなって思っていました。上手かったですよね」と絶賛する。

「だからあの肩があって、あの足があれば、しっかり捕れさえすれば、すぐとは言いませんが、1軍に上がってくるでしょうし、上がってきて1回掴んだら離さないタイプの選手ですよ。そうすると、もうベイスターズは10年から15年はショートが安泰かな。それぐらいの雰囲気を感じさせる選手ですね」と走攻守3拍子揃ったルーキーを大絶賛している。

 ドラフト時には「なんでDeNAはこの選手をドラ1で指名したのだろう? (チームの戦力を考えれば)右ピッチャーではないのか」と疑問符が浮かんだという野口氏も、キャンプで実際に存在感を放つ森の姿を見たことで「でも『あれだったらそうだよね』となりました」とドラ1たる所以を確信したようだ。

 DeNAのショートは32歳の大和内野手がレギュラーを務め、柴田竜拓内野手や倉本寿彦内野手も控えている。その牙城を崩すのはもちろん簡単なことではないが、森が「1番・遊撃」を不動のものとする日も近いかもしれない。(Full-Count編集部)

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