新型コロナで「いっそ廃業」 相次ぐキャンセルに事業者悲鳴

物流停滞で操業停止も

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車内に消毒チェック表と除菌スプレーを備えたラッキーグループのタクシー=長崎市内

 新型コロナウイルス感染拡大の余波は、旅行や送別会など人の動きが活発化するシーズンを直撃。県内事業者は感染防止に奔走するが、売り上げの落ち込みに悲鳴を上げる。物流が滞る影響も小さくない。
 「借金苦でどうにもならなくなる前にいっそ廃業した方が…」。県内の観光バス事業を営む男性は思い詰める。中国人クルーズ船客の利用がストップ。さらに国内旅行や視察が手控えられ、全国のスポーツ大会の中止で遠征利用も途絶えた。3月分のキャンセルで1千万円以上の収入が消え、車両リース会社に返済猶予を相談したが取り合ってもらえなかった。「政府が『観光立国』をうたうなら補償もすべきだ」と訴える。

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 長崎ラッキーグループ(長崎市)のタクシーは、お年寄りの通院や飲み会帰りの利用も急減。修学旅行のキャンセルも出始めた。車内を毎日消毒し、チェック表で乗客に明示して安全をアピール。運転手全員に除菌スプレーを持たせた。長崎自動車(同市、長崎バス)も殺菌力の高い消毒剤を導入し、手すりやつり革を毎日拭く。マスクは窓口担当に優先配布し、運転手に行き渡らない状態。学校の一斉休校で通学利用が減るとみている。
 「今の状況が続くとアウトだ」。長崎スカイホテル(同市)の担当者は嘆く。修学旅行や宴会のキャンセルで、15日以降の稼働率は3割程度に落ち込む見通しという。
 他県で感染例が出たスポーツジムなど閉鎖空間を抱える同市内の事業所は、とりわけ風当たりが強い。あるジムは、ヨガなど小部屋利用を控えてきたが、4日から休業し会費を半額返金。カラオケがある居酒屋は、客が歌い終わるたびにマイクを消毒。カラオケ店は送別会など予約の半分が取り消され「痛手だ」。
 送別会の自粛ムードは生花店にとっても「死活問題」。オランダヤ(同市)は「金曜に多いはずの電話も来店もぱたっと途絶えた。暗い雰囲気だからこそ花を贈って気持ちを明るくしては」。企業に案内チラシを配る予定という。
 物流の停滞に翻弄(ほんろう)される例も。長崎キヤノン(東彼波佐見町)は中国からデジタルカメラ部品の調達が難しくなり、2日~13日の予定で操業を停止した。建築資材も中国産が多く、長崎市内のマンションを改修する1級建築士(69)はユニットバスが手に入らず着手を延期。「オイルショック以来の出来事」と戸惑う。
 薬局の経営者が苦しい胸のうちを明かす。マスクや消毒液、体温計が入荷せず、店員用マスクの在庫も底をつきかけている。商品を巡り来店客から感情的に問われることもあり、「感染リスクが高い最前線で体を張るスタッフの事情も分かってほしい」と広く理解を求める。

 


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