オースティンは「40発打っちゃう」―専門家が期待を寄せるDeNAの注目“3人の打者”

DeNA・梶谷隆幸(左)とタイラー・オースティン【写真:荒川祐史】

野口氏は梶谷の野球センスを大絶賛「天才的な回り方」

 昨季、セ・リーグ2位につけ、球団史上初となる本拠地開催でのクライマックスシリーズ(CS)を掴み取ったDeNA。今季は1998年以来22年ぶりとなるリーグ優勝をかけた負けられないシーズンとなる。しかし、6年連続で20本塁打以上をマークした筒香嘉智外野手がポスティングシステム(入札制度)を利用しMLBレイズへ移籍。精神的な支柱としてもチームを支えた男が抜けた穴は大きい。

 だが、悲観することはない。「DeNAの選手のことだから『なんだかんだ言ってそんなにマイナスではなかったね』っていうとこまでは持っていくと思います」と評価するのは現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、17年から2年間ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏だ。

 筒香が抜けた穴は「1人じゃ絶対埋まらない」としながらも選手層の厚さで十分にカバーできると指摘。中でも野口氏がキーポイントに挙げたのはプロ14年目を迎えるベテラン梶谷隆幸外野手の存在だ。

「今年は梶谷が開幕に間に合いそうな雰囲気があります。今年は例年よりも肩の状態が良いらしい。やっぱり彼がいるかいないかは大きな違いなので」

「願望になるけどセンターに梶谷を使ってほしいですね。脚力だったら神里(和毅外野手)よりも梶谷のほうが上ですからね。脚力というか野球の走塁の走力。陸上選手みたいに『よーいドン』で走ったら神里のほうが速いかもしれません。だけど陸上選手じゃない。野球のベースランニングという話なら(梶谷は)天才的な回り方をしますからね」

 ここ2年は怪我や不振に悩まされ、出場試合数は50にも満たず不本意なシーズンを送っていた梶谷。14年には盗塁王に輝いた男を野口氏は中堅のレギュラーに猛プッシュした。

オースティンの打撃に唸る「左中間よりもちょっとセンター寄りからライトのポールの間に飛ぶ打球が素晴らしく良い」

 梶谷だけではない。野口氏は、2月16日の“日本デビュー”となった巨人とのオープン戦で圧巻の2打席連続本塁打を放ったタイラー・オースティン内野手の活躍を確信している。

「オースティンが良いですね、やはり。バッティング練習を見てても強引に引っ張り回すバッティングじゃない。彼のスイングの特性から言って、左中間よりもちょっとセンター寄りからライトのポールの間に飛ぶ打球が素晴らしく良い。凄い良い打球を飛ばして、良い打ち方をしています。全くブレずに(バットが)内側から出てきて『カァーン!』と打ち込んで、この間(左中間~ライト)に飛んでくと打球の勢いがすごい。このバッティングをシーズン終わるまで心掛けてくれたら、外の変化球にクルクル回ることもないでしょうし、横浜スタジアムだから40発打っちゃうんじゃないでしょうか」

 野口氏は同試合で放ったバックスクリーン右への1号弾を大絶賛。「あれがたぶん彼の1番の特徴。1番良いバッティングが出た一発ですよね、あれは。2本目のインコースを打った打席は反応で回ってしまったって感じのホームランだと思うので。そういうのもプラスアルファすると、やると思いますよ」と日本への順応力についても太鼓判を押した。

 さらに筒香の後を引き継ぐ形でキャプテンに就任した佐野恵太外野手にも注目している。「佐野は去年も頑張っていたし今年は上積みもあると思います」と昨季89試合に出場し5本塁打33打点、打率.295と飛躍のシーズンを送った男のさらなる成長へ期待を寄せた。

 梶谷の復調とオースティン加入による上積み、さらに佐野が期待通りの成長を見せれば筒香の穴を補って余りあるものとなることだろう。悲願の優勝へ――今季のDeNA打線から目が離せない。(Full-Count編集部)

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