MLB新ルール“ワンポイント禁止”に監督ら怒りの声 「信じられないことを」

MLBは今季から「ワンポイント救援」が禁止に【写真:Getty Images】

米メディア「ジ・アスレチック」によると、多くの監督が新ルールに困惑しているという

 MLBと選手会の間で合意に達した、投手の“ワンポント起用”を禁止する新ルールは今季から導入されるが、指揮を執る監督は困惑しているようだ。米スポーツメディア「ジ・アスレチック」が報じた現場の声からは、半ば怒りすら感じられる。

 このルールでは、投手は3人の打者との対戦か、イニング終了までの登板が義務付けられる。試合時間の短縮が目的だ。これにインディアンスのテリー・フランコーナ監督は「MLBは信じられないことをしたと思う。新ルールが採用される時に説明を受けるが、今回だけは理解できない。戦い方を決められてしまうんだ」と大反対の様子だったという。“一人一殺”が出来なくなれば、当然投手の使い方、投手の配置の仕方も変わってくるだろう。

 またMLBでは近年敬遠策が減っており、昨季は過去最少だった。カブスのデビッド・ロス監督はこの件に言及し、「敬遠は消えつつあったが、復活するかもしれない。対戦した打者の人数にはカウントされるからね」と隠れた問題を炙り出した。

 敬遠は1955年から記録され、通算762本塁打を放ったバリー・ボンズ以外で満塁敬遠されたのは2008年8月17日のジョシュ・ハミルトンだけであったこと、その時の敬遠を選択した監督はジョー・マドン氏であったと記事は伝える。

 今季は大谷翔平投手が所属するエンゼルスで指揮を執るジョー・マドン監督は、「2死一塁の状況で左打者に対して左腕を登板させるとする。四球を与えて2死一、二塁となり、右打者とは相性が悪い。その次が左打者だったら、敬遠するか? するかもしれない」と、ロス監督の指摘通り、可能性を否定しなかったようだ。

エ軍マドン監督は左右の“ジグザグ打線”は「理想的でなくなる」と指摘

 またマドン監督はこれまでの打線の組み方を振り返り、「通常なら左-右、左-右、左-右とするよ。いつもそうしていた。だが……今なら並べるかもしれない」とこの新ルールに対応する策を明かしたという。中軸の左打者が勝負所で回ってきたら、相手監督は左腕に登板させる可能性が高く、その場合は左-右-左は理想的ではなく、左打者の後に強力な右打者を並べれば、敬遠で避けることもできなくなるからだと記事は指摘する。

 マドン監督は大谷の場合にも言及。大谷の打席の後に2人の右打者を並べたらどうか、と聞かれると、「強力な左打者の後に逆の打者、右-右-右を並べることは賢明かもしれない。オオタニとの対戦に左腕を登板させたら……トラウトとレンドンと対戦しなければならなくなる」と指摘したという。

 ダイヤモンドバックスのアンドリュー・チェイフィン投手は、昨季1打席の登板がナ・リーグ左腕で最多の25回あり、昨季MLBで左打者との対戦が救援左腕の中で2番目に多い135回だったという。トーリ・ロブロ監督は「秘密ではない。皆知っていると思うが、彼に対戦させたい候補を決める。最も重要な場面で起用する。抑えの状況ではない。これは戦術を広げると思う」と様々な可能性を示唆した。また、レイズのケビン・キャッシュ監督は「たくさん代打を起用する」と明言した。

 フランコーナ監督は「難しいよ。どうするか解決しなければならない。悩ましい」と嘆く。マドン監督は「違う戦術が作られるだけだよ。必ずしも良くなるとは言えないけどね」とも話している。各監督が新ルールにどのように対応し、選手を起用していくか。今季のメジャーリーグの“見所”の一つとなりそうだ。(Full-Count編集部)

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