ERC:元ジュニア王者のマリアン・グリーベルが復帰。シトロエンC3 R5でフル参戦へ

 2018年のドイツ国内ラリー選手権王者であり、2016年、2017年と2年連続でERCヨーロッパ・ラリー選手権のジュニア王者に輝いたマリアン・グリーベルが、2020年のERCシーンにカムバックしフル参戦を表明。新たにフランスの名門サンテロック・ジュニア・チームに加入し、シトロエンC3 R5をドライブする。

 ERCジュニア(現ERC3)と、ERCジュニアU28(現ERC1)を2年連続で制した30歳のドイツ人は、2020年のFIA欧州格式選手権復帰に向け、まずは有効ポイント上限となる5戦のプログラムで2019年のERCチャンピオンチームに合流。シーズンを追うごとに、その予算規模に合わせてさらに複数のラウンドにエントリーする可能性も残している。

 そのグリーベルはERC卒業後の2018年には地元ドイツの戦線に復帰し、国内選手権を制覇。同年のWRC世界ラリー選手権ドイツ・ラウンドにはERCジュニア王者獲得プライズを利用してシトロエンDS3 WRCでトップカテゴリーに挑戦し、総合8位に入って4ポイントを獲得するなど、ドイツを代表するラリーストのひとりとなった。

「名門サンテロックは、これまでもクレイグ・ブリーンやアレクセイ・ルカヤナクといったスタードライバーと組み、ERCで大きな成功と経験を重ねてきた。そんな彼らは、僕に速いクルマを与えてくれるはずだと大いに期待しているんだ」と今季への抱負を語ったグリーベル。

「2019年の僕のプログラムとは対照的に、この2020年に向けては各ラウンドの前にテストを実施して、はるかに良い準備をしてラリーに挑むことができるだろう。だから、個人的にも素晴らしい結果が得られるはずだと考えている」

 2014年にERCデビューを果たし3戦に出場したグリーベルは、2016年のERC3チャンピオン獲得後にR5(現ラリー2)カテゴリーへとステップアップ。同年のR5デビュー戦となったERCキプロス・ラリーで総合2位に入ると、2017年には昇格初年度で即座にジュニア・クラウンを獲得するなど、その非凡な才能とスピードを披露してきた。

シュコダ・ファビアR5をメインに、プジョー208T16やヒュンダイi20 R5など多くのモデルをドライブしてきた
2017年から3年連続でタイトルを獲得。現在のドイツを代表するラリーストのひとりに

「ERCは僕らの大陸で最も美しい場所を旅して、いくつかの厳しいステージで本当にクールなラリーを開催してくれている」と続けたグリーベル。

「2020年に向けても、すでに多くの強豪がフルシーズンエントリーを表明しているから、コンペティションは以前よりさらに過酷になると感じている。だから、すべてのラリーでふたたびユニークな挑戦を強いられることになるだろう。今からその勝負が待ちきれない気分だ」

 グリーベルは3月26~28日に開催される開幕戦アゾレス・ラリーからシーズンを開始し、続く5月7~9日のラリー・イソラス・カナリアスにもエントリー。さらに全8戦のうち残る3戦に向け資金確保に動いており、その経過は間もなくアナウンスされる見込みとなっている。

「もちろん、ERCタイトル獲得に向け大きなバジェットが必要になることは理解しているが、ドライブするからには勝ちたいと思うのが心情だ。チャンピオンシップを勝ち獲るのは大きな仕事で、速いドライバーがたくさんいる選手権で王座を得るには、5戦のイベントのみでは充分ではない」

「だからこそ、シーズンのスタートで好成績を収める必要があり、1~2戦の追加エントリーを実現するべく、さらに参戦資金を獲得する必要があるんだ」

 2020年のERCシーズンに向け、このドイツ人ドライバーを迎え入れたサンテロック代表のヴィンセント・デュシェは、過去数シーズンにわたって賞賛すべき走りを見せてきたドライバーと戦えるのは「心からの喜びだ」と歓迎の言葉を述べた。

「2016年に彼がERC3のジュニアタイトルを獲得したのを見て以来、彼が良いドライバーであることはよく知っている。彼はERCでの戦い方について非常に優れた知識を有しており、我々のC3で抜群のスピードと良いリザルトを手にしてくれると確信している」

ともにジュニアタイトルを獲得したステファン・コプチェク(右)とのペアを継続する
2020年序盤戦は全5戦へのエントリーを予定。戦績と予算次第で残る3戦の追加を模索する計画だ

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