【聖火をつなぐ】9 「現役の走り見せる」 石川誠一郎さん(79)(上勝町正木、農業)

 年齢を感じさせない力強い走りで周囲を驚かせる。昨年9月に鳴門市で開かれた四国マスターズ選手権では、75~79歳の部の60メートルと100メートルに出場して2冠を達成。60メートル走では9・61秒の大会新記録もマークした。

 選手権には50歳から毎年出場。負けず嫌いな性格だけに「2位にはなりたくない」との意気込みで大会に挑んでいる。

 80歳を前にしても心身ともに衰えはない。練習は週3回、5キロのランニングと100メートルのダッシュ2本をノルマにしている。

 友人と一緒にソフトバレーにも汗を流す。聖火ランナーに応募したのは、陸上競技での活躍を知ったバレー仲間だった。「30年近く陸上に取り組んできた成果が認められ、ランナーに選ばれたのだろうか。人生で最高の舞台になる」と笑顔を見せる。

 家族や兄弟から「二度とない機会。おめでとう」と声を掛けられた。周囲の声援を励みに、本番に向けた練習にも力がこもる。

 「『年を取ってもこんなに走れるのか』と沿道の観客に思ってもらえるよう、元気な走りを見せたい」。自分がつないだ聖火が、東日本大震災からの復興の象徴として、世界のトップアスリートの熱い戦いを見守る日を心待ちにしている。

四国マスターズ選手権で獲得したメダルをかける石川さん=上勝町正木

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