トレードマークの青のバンダナを締め、傾斜90度以上の壁を軽々と登る。スポーツクライミングの四国ジュニアカップを3度制し、昨年の全国ジュニアオリンピックで9位に入った。
阿南市の横見小1年の時、藍住町民体育館であった教室でクライミングを体験し、壁を登る楽しさを知った。「もっとうまくなりたい」と、列車で1時間かけて徳島市や藍住町のジムに通った。
父英一郎さん(48)は娘の頑張りを後押ししようと、自宅近くにある約200平方メートルの倉庫を借り、昨年8月に専用ジム顔負けの本格的なクライミング壁を整備した。めきめきと腕を上げる弟の凛世君(11)=横見小6年=と一緒に、練習に打ち込んでいる。
憧れはワールドカップ王者の野口啓代選手だ。昨年3月、野口選手も出場した全国大会に挑んだ。しかし力を出し切れず、悔しさで涙が止まらなかった。その時、野口選手から「泣いて強くなるんだよ」と声を掛けられた。偉大な先輩の一言に前を向き、誓った。「さらに練習を重ねて憧れの五輪の舞台に立ちたい」
大会の後、野口選手が東京五輪への出場を決めた。聖火ランナーに名乗りを上げたのは「夢を与えてくれた恩返しがしたい」との思いからだ。五輪を最後に引退を表明している野口選手の活躍を願い、聖火を運ぶ。