ダイオウイカ、なぜ京都の沖合で発見相次ぐ? 生体の謎と海の中層域の変化

伊根町沖で捕れ、丹後魚っ知館で展示されたダイオウイカ(2月、京都府宮津市)

 世界最大級の無脊椎生物「ダイオウイカ」が今冬、京都府の伊根町沖で相次いで発見されている。専門家は鳥取県や島根県の沖合の水深100メートルほどの水温が例年に比べて低いことと関連している可能性を指摘する。

 京都府海洋センターによると、昨年12月から今年2月にかけて3匹が定置網に掛かった。同センターが把握する限り、府内での確認は3年ぶり。上野陽一郎研究部長は「1匹も見つからない年もあるので今季は多い」と話す。

 ダイオウイカは発見例が少なく、生態については不明な点が多い。国立科学博物館の窪寺恒己名誉研究員によると、太平洋など広い海の中層域(水深500~1000メートル、水温4~6度)に生息していると考えられ、12~3月にかけて日本海に面した海岸でしばしば見つかるという。

 窪寺名誉研究員は「広い海は深いところの水温が4度くらいあるが、日本海の水深200メートルより深い所は1、2度と冷たい。150メートルより浅い所にいると考えられる」と説明。ダイオウイカは鳥取県や島根県沖の水深100メートルあたりが例年より冷たい場合、比較的温かい沿岸に押し寄せられる傾向があるといい「今季は例年よりも2、3度ほど冷たかったことが京都で比較的多く見つかったことと関係しているのではないか」と推察している。

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