働く主婦の7割が指摘する、少子化3大要因は克服可能か?

総務省によると、令和2年2月時点の日本の人口は概算値で1億2601万人。まだまだ多い印象があるかもしれません。

しかし実は、2008年をピークに12年も前から人口は減少し続けています。一方で年間の出生数も減少し続けているため、人口減少は今後も長く続いていくことが見えています。

そんな背景から、少子化は社会問題だと言われています。しゅふJOB総研が、働く主婦層713名に尋ねたところ、85.6%が社会問題だと回答しました。

では、何が少子化を引き起こす原因となっているのでしょうか。そこを明らかにする上で、仕事と家庭の両立を希望する働く主婦層の声は参考になるはずです。


少子化の原因は何だと思うか?

働く主婦層に、「少子化の原因は何だと思いますか」と複数回答で尋ねたところ、3つの選択肢に集中しました。それぞれ、およそ7割の人が選択しています。(n=713)

最も多かったのは「子育てと両立しやすい仕事が少ない」で70.3%。これは言い方を変えると、子育てか仕事のどちらか一方を選択せざるを得ないと感じている人が多いということになります。

それが“少子化の原因”として選択されているということは、子育てか仕事かどちらかを選択しなければならない場面では、多くの場合、仕事の方を選択せざるを得ない現状があることを意味しています。

2番目に多かったのは、「子育てにお金がかかり過ぎる」で69.7%。子どもが増えれば、その分の食費や衣服等の生活費がかかります。そして教育費も大きな負担です。

子育てにお金がかかるから、収入を増やさなければならない。しかし、収入を増やすために仕事をしたくても、子育てと両立しやすい仕事は少ない。1番目と2番目の理由から、ジレンマのスパイラルが生まれていることが見て取れます。

子育ての負担と少子化の関係

3番目に多かったのは、「子育ての負担が女性に偏っている」で67.0%。子育ての負担が女性に偏ると、何が起きるのでしょうか。

子育ては24時間365日、何が起きるかわかりません。子どもが突然熱を出したりすると、予定を変更して病院に連れて行ったり看病したりと付きっきりになります。それらを夫婦でうまくカバーしあえば凌ぎやすさも変わりますが、負担が女性に偏ると、女性だけが拘束されることになります。

その結果、女性は仕事をしたいと思っても、子育て負担を一手に引き受けながら両立させるという、難易度の高い働き方を模索せざるを得なくなります。

子育ての負担が女性に偏れば仕事との両立が継続しづらくなり、収入を増やせなくなることで、子育てにかかるお金の負担がより重いものになってしまう・・・1番目から3番目の理由は、すべてつながっていると言えます。

子どもが増えるほどお金の負担も増える

先ほど見たグラフをお子さんの人数別で比較してみたところ、「子育てにお金がかかり過ぎる」と回答した人の比率が、お子さんの数に比例して増えました。

お子さんがいない人の比率が57.4%であるのに対し、1人お子さんがいる人は65.2%と8ポイント近く増えます。実際にお子さんがいると、子育てにお金がかかると実感する比率がさらに高まるようです。

お子さんが2人以上になると75.9%とさらに10ポイント以上増えます。お子さんの数が増えるほどお金の負担を実感する比率が高まるとなれば、2人目3人目と産むことをためらう要因となりえます。

どうすれば3大要因を克服できるか?

フリーコメントには、「この十数年間で特に目立った効果のある政策が思いつかない」など、少子化を解決する難しさを訴える声が多数寄せられました。

「女性も男性も生き方は多様化してるし、晩婚化は当たり前になっている」「子供を産むことを強制は出来ない」「誰にでも当てはまるようにルール化できる問題ではない」「子供をたくさん産むことができない理由がたくさんあり過ぎ」「世のパパの協力体制が弱すぎる。もう妊娠も出産もしたくない」

先に見たように、少子化の3大要因は互いに関わりあっています。しかし見方を変えれば、歯車のかみ合わせを一つ正せば、3つの要因が一気に解決に向かう可能性を秘めているとも言えます。

子育てと両立しやすい仕事が増えれば収入を得やすくなり、子育てにかかる支出も賄えるようになります。子育て負担が軽くなれば女性は働き続けやすくなり、好循環が生まれます。

そんな好循環の事例が世の中のあちこちで見られるようになれば、3大要因を克服できるだけでなく、社会全体の豊かさをさらに高めることにもつながっていくのではないかと考えます。

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