新型コロナウイルス報道一色の最中 「今こそムダな話をしよう!」|プチ鹿島

会議では無駄話も必要。

思わず唸ってしまった。TABLOの2月28日の記事である。

『リアル人妻店が大打撃! 「『全校休校』でふつうに営業している人妻風俗店はニセモノです」!? 人妻にしか癒やされない男たちも大打撃』

ああ、私はこういう「ニュース」を知りたかったのかもしれない。この視点は今こそ必要だと思った。

コロナウイルスで連日一色です。見えない、知らない、身近かも? という不安は当然ニュースの需要がある。一方で大きな論点が多すぎると「細部」がなんとなく気になってくる。

たとえば歌舞伎町は今どうなっているんだろうとか。たとえば競馬場が無観客になってネットで馬券が買えないおじさんはどうしてるんだろうとか。これだけイベント開催が自粛ムードの中、敢然と開催しているイベントの中の様子はどうなってるんだろうとか。気になることはいろいろある。言ってみればこれらは下世話で野次馬案件だ。

テレビも新聞も真正面から報じるしかない現状では、こういう野次馬案件はなかなか報告されない。でも下世話な真実こそ、今もっとも知りたいことでもある。

以前にあった『トゥナイト2』のような番組が今もあれば、この手の野次馬&細部案件をレポートしてくれたかもしれない。山本晋也監督が風俗店の経営者やお姉さま方の切実な話を聞いてくれたはず。視聴者はそこから「今」を感じたはず。

ポイントはあの番組の放送時間は24時頃の深夜帯だったこと。油断して見ていたうかつな時間帯だった。でも無駄だけど無駄ではない時間だった。

そう、今のこの時期こそ「無駄」が必要なんじゃないかと思う。

というのも先日、私もリモートで打ち合わせをした。コロナ対策のためだ。

しかしその時、画面の向こう側といみじくも話したのが「リモートだと大事なことしか話さないですよねぇ」。

打ち合わせと言えば本題ではなくどうでもいい話から入ったりする。きのう観た映画の話とか、街で見た風景だとか。でもそういう無駄話から話が展開していくこともある。だから無駄ではなかったりする。

あと、人間は「こもる」と一人でネガティブなことを考えがちだが会社や学校や酒場に行くと、人と話すだけでそんな気分を発散することができる。「どうでもいいこと」が大事だったと気づく。

この状況はあとどれくらい続くのだろう………。あと1、2週間? ケンちゃんラーメンはいつまで新発売なのかみたいじゃない?

皆さん、信頼できる仲間や同僚と無駄話やバカ話を今こそしましょう。(文◎プチ鹿島 連載『余計な下世話』)

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